漫才「ゴミ屋敷」

A「昨日録画してた夕方のニュース見てたら凄く格好いい人が出てて」

B「録画してまで見るもんじゃないだろ」

A「ゴミ屋敷の住人なんだけど」

B「どこが格好いいんだよ」

A「近所の人が苦情を言いに来てもちゃんと追い返してた」

B「ちゃんとの意味が分からないわ」

A「俺も将来ああなりたいから、追い返す練習させてくれ」

B「いやそんな練習必要ないだろ」

A「全部必要なんだよ!」

B「もう入り込んでる…」

A「(ゴミをかき分ける)」

B「すみません!田中さん!」

A「ああ?なんだ?」

B「向かいの家の佐藤です」

A「ゴミ少な屋敷の佐藤さんね」

B「普通の家の佐藤です」

A「煮物なら要りませんよ」

B「いやおすそ分けしに来たんじゃなくて、今日はこの家のゴミをなんとかしてほしいなと思いまして」

A「僕をですか?」

B「そこまで酷いことは言ってないです」

A「全てゴミじゃないですよ、必要なものですから」

B「そう言いますけど、家の中は空き缶やら食べ物のゴミばっかりじゃないですか。こうやって外にまで物が溢れ出してるし」

A「ここにあるのも大事なものです」

B「この段ボールに入った服は?」

A「仕事で使う衣装です」

B「この袋は?」

A「通帳や印鑑が入ってます」

B「じゃあこの壊れてる傘は?」

A「父の形見なんです」

B「いやなんで本当に大事なものを外に置いてるんだよ」

A「家の中が一杯になったので」

B「片付けてくださいよ」

A「隙間なく埋めれば消えると思ったんですけど」

B「テトリスじゃないんだから」

A「よければ何か差し上げますよ、これとかどうですか?(渡す)」

B「何ですかこれ?」

A「さかなクンのオリジナルステッカーです」

B「要りませんよ」

A「ラジオでしか手に入らないやつですよ」

B「あの人ラジオ向いてないだろ」

A「生魚送ったら採用されました」

B「音声でどう伝えるんだよ」

A「あとはこれなんかどうですか?(渡す)」

B「これは?」

A「マリオが農業を頑張るゲームです」

B「要らないって」

A「スターを取っても天候が悪いと負けます」

B「リアルな設定とか知らないですよ」

A「じゃあこれは…」

B「いやもういいから!早く片付けましょうよ、僕も手伝いますから(片付け始める)」

A「分かりました、僕もあなたの家を掃除するので競争しましょう」

B「不利すぎるだろこっちが」

A「負けたら一生またたび禁止で」

B「なんで猫用の罰なんだよ。いいから早く要るものと要らないものを仕分けして…」

A「じゃあスタート!(走ってはける)」

B「勝手に始めるなよ!」

A「(走って戻ってくる)」

B「どうしたんですか?」

A「今あなたの家に入ろうとしてたんですけど、許可って要ります?」

B「いや要るに決まってるだろ、もういいよ」





この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?