漫才「取り調べ」
A「昨日映画見ながらドラマ見てたんだけど」
B「欲張るなよ」
A「ちょっとやってみたいシーンがあって」
B「どういうシーン?」
A「刑事が殺人事件の容疑者を取り調べるやつ」
B「ああ、あれはかっこいいね」
A「とりあえず俺は刑事やるからお前は自分の頭で考えて」
B「腹立つな、容疑者やればいいんだろ」
A「(バンッ)お前がやったんだろ!」
B「俺はやってねえよ」
A「嘘をつくな、目撃情報があるんだよ」
B「目撃情報?」
A「現場の近くでお前とよく似た性別の人間が目撃されている」
B「広すぎるだろ、よく似た性別ってなんだ」
A「物的証拠だってある」
B「物的証拠?」
A「お前の車からこんなものが見つかった(見せながら)、バイク雑誌と竹原ピストルのCDだ」
B「それがどうしたんだよ」
A「これはお前が男性だということの証拠になり得る」
B「いやだから性別だけで疑うなって」
A「もう諦めるんだ」
B「全然追い込まれてないから。それに俺にはアリバイがあるんだ」
A「何だと?じゃあ昨日の午後3時頃、どこで何してたか言ってみろ」
B「友達と海に行ってたよ」
A「俺誘われてないぞ」
B「当たり前だろ」
A「この署内で海釣りといえば俺だからな」
B「知らねえよ。釣りじゃなくて海水浴だし」
A「その間一人にはならなかったのか?」
B「ずっと友達と一緒だったよ。夕飯も一緒に食べて別れたのが夜8時頃だから」
A「何食べたんだ?」
B「え?ラーメンだけど」
A「おお、何ラーメンだ?」
B「醤油ラーメン」
A「スープは魚介系か?麺はどういう…」
B「事件と関係ないだろ」
A「ああすまん、署内で食通といえば俺だから」
B「知らねえよさっきから。刑事のプライベート興味ないから」
A「しかしアリバイがあるとなると捜査は振り出しだな…」
B「元々進んでなかっただろ」
A「(電話が鳴る)盛り上がってきた所なのに悪いね(出る)」
B「ずっと盛り下がってたわ」
A「何?!真犯人が見つかった?……分かった、すぐ向かう(切る)」
B「ああ、やっと帰れる」
A「真犯人は恋人の女だったそうだ」
B「いや性別も間違えてたのかよ!いい加減にしろよ、お前がやりたいって言ったのに全然まともな取り調べできないじゃん」
A「できてなかった?」
B「全くできてないわ。お前昨日どんな映画とドラマ見てたんだよ」
A「釣りバカ日誌と孤独のグルメ」
B「いやどっちも取り調べのシーンなんて無いだろ、もういいよ」
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