漫才「隕石」

A「あのー、実は俺、最近映画を見るのにハマってて」

B「うん」

A「隕石が地球に衝突して人類が滅亡する、みたいな映画を昨日見たのよ」

B「はいはい」

A「それで映画自体は普通に面白かったんだけど、あんなの実際に起きたらめちゃくちゃ怖いなーと思ってさ」

B「確かにそれは怖いね」

A「お前さ、もし本当に隕石が落ちてくる、ってなったらどうする?」

B「え?」

A「そんな映画みたいなことが実際に起きたら、お前ならどうする?」

B「あー、その場合はまあ、あれだね」

A「何?」

B「とりあえず避けるね」

A「…え?」

B「もし本当に隕石が落ちてきたら、とりあえず避けるね」

A「いやそんな呑気な話じゃないのよ」

B「俺、痛いのマジで嫌いだからね」

A「知らねえよ、もう痛いとかいう次元じゃないし」

B「小学校の休み時間でも、ドッジボールが嫌すぎて毎日塗り絵ばっかりしてたんだから」

A「ドッジボールと隕石衝突を一緒にするな、あと塗り絵は2日で飽きろ」

B「だからまあ、俺は隕石が落ちてきたら、とりあえず避けるね」

A「避けられないのよ」

B「え?」

A「隕石って避けられないのよ、めちゃくちゃでかいし」

B「ああ、その隕石ってでかいの?」

A「当たり前だろ、人類を滅亡させるような巨大隕石の話をしてるんだから」

B「なるほどなるほど、じゃあ話は変わってくるね」

A「小さければ避けれた感じで言うな」

B「そうかー、巨大隕石かー…」

A「どうするの?落ちてくるってなったら」

B「うーん、その場合はまあ、あれだね」

A「何?」

B「思いっきり避けるね」

A「…え?」

B「もし本当に巨大隕石が落ちてきたら、思いっきり避けるね」

A「いやだから無理なのよ、お前が本気を出しても結果には反映されないのよ」

B「やっぱり俺、痛いのマジで嫌いだからね」

A「知らないって、最早痛みすら感じないって」

B「奥歯が4本虫歯になった時も、耐えられなくて全部自分で引き抜いたんだから」

A「それはもう痛みに鬼強いだろ」

B「だからまあ、俺は巨大隕石が落ちてきたら、思いっきり避けるね」

A「避けられないのよ」

B「え?」

A「巨大隕石って避けられないのよ、めちゃくちゃでかいし、めちゃくちゃ速いから」

B「ああ、その隕石って速いの?」

A「どの隕石も速いわ」

B「なるほどなるほど、じゃあ話は変わってくるね」

A「何も変わらないだろ、そもそもお前が何しようが人類ごと滅亡するんだから」

B「そうかー、滅亡するのかー…」

A「結局どうするの?でかくて速い巨大隕石が落ちてくるってなったら」

B「うーん、その場合はまあ、あれだね」

A「何?」

B「自分の腹を切り裂いて誇り高く死ぬね」

A「いやめちゃくちゃ痛そうな回答だな、なんか怖いわ」



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