漫才「二択」

A「お前さ、普段目玉焼きに何かけてる?」

B「え?」

A「ほらあの、醤油派、ソース派みたいなやつあるじゃん」

B「ああ」

A「お前は何派?」

B「うーん……どっちでもいい」

A「え?」

B「別にどっちでもいいな」

A「いやその、どっちかと言えばこっち、みたいな…」

B「無いね、どっちでもいい」

A「ああそう…」

B「うん」

A「じゃああのー、あれは?蕎麦とうどんは?」

B「ん?」

A「蕎麦派かうどん派か、お前はどっち?」

B「うーん…どっちでもいい」

A「いや…」

B「別にどっちでもいいな」

A「ああそう…」

B「うん」

A「じゃああのー、あれは?朝食は?」

B「ん?」

A「パン派かご飯派か、お前はどっち?」

B「うーん…どっちでもいい」

A「だから…」

B「別にどっちでもいいかな」

A「ちょっとそれやめて」

B「え?」

A「いやあの、こういうのって普通さ、そういう話題として何となくどっちか選ぶじゃん?」

B「そうなの?」

A「そうだよ、どっちでもいいっていうのが一番困るんだよ」

B「ああ、ごめん」

A「お前もしかしてあれ?食べ物に興味ない感じ?」

B「え?」

A「食べ物のこだわりとか、そういうの全く無いタイプなの?」

B「うーん…どっちでもいい」

A「え?」

B「俺が食べ物に関心あるのかないのか、別にどっちでもいい」

A「いやそれやめろって、会話にならねえから」

B「うーん…どっちでもいい」

A「え?」

B「会話になってるのかなってないのか、別にどっちでもいい」

A「だからやめろって!確実になってないし」

B「うーん…どっちでもいい」

A「うるせえなもう!」

B「確実なのか確実じゃないのか、うるせえのかうるさくねえのか、別にどっちでもいい」

A「何がしたいんださっきから!自分で二択作って自分で曖昧にするなよ!」

B「曖昧にしてるのかしてないのか、空が青いのか俺が白いのか、馬が合うのかコアラが合わないのか、別にどっちでも…」

A「もう何言ってんだお前!落ち着け!」

B「落ち着くのか落ち着かないのか…」

A「だからもういいって!やめろ!」

B「……」

A「何なんだほんと!いい加減にしろよ!」

B「……」

A「お前、さっきから俺とまともに会話する気あんのか?」

B「全くないよ」

A「いやそこは即答するんかい、ふざけんな」



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