漫才「ゴミ」

A「どうもー、よろしくお願いしますー」

B「よろしくお願いしますー(空き缶を持ってる)」

A「え…?」

B「あのー、実は僕、やってみたい仕事がありまして」

A「いや…」

B「夕方のニュースのリポーターっているでしょ?あれがやりたいんですよ」

A「ちょっと…」

B「じゃあ今日はここで少し練習を…」

A「いや待ってくれよ」

B「ん?」

A「それ何?」

B「え?」

A「その手に持ってる物、何?」

B「空き缶だけど?」

A「いやなんでそんなもん持って来てるんだよ」

B「仕方ないじゃん、ゴミ箱無かったんだから」

A「全然仕方なくないだろ、どこかに置いて来いよ」

B「嫌だよ、勝手にゴミを放置する無礼な奴だと思われたくないもん」

A「いや今漫才にゴミを持参する頭おかしい奴だと思われてるぞ」

B「そもそもこれは周りにゴミ箱を設置しなかった奴が悪いわけで…」

A「そんなことないわ、っていうか向こうにちゃんとゴミ箱あったぞ」

B「え?気付かなかったわ、なんで丸一日教えてくれなかったの?」

A「丸一日…?」

B「このファンタ昨日買ったやつなんだよ」

A「いやこいつ24時間持ち歩いてたのかよ」

B「早く飲み干して捨てに行かないと」

A「なんでちょっと残ってるんだ、なんで昨日から手に持っててまだちょっと残ってるんだ」

B「まあ途中でポカリ買ったからね」

A「え?それはどうしたの?」

B「飲み終わって捨てた」

A「いや普通にゴミ箱あるじゃねえか、なんでファンタだけ生き残ってるんだ、そこで一緒に捨てておけばそれで…」

B「ああもう何なんだよ、さっきから一々うるせえな」

A「え?」

B「お前の話は聞き飽きたわ、早く俺がやりたかったリポーターの練習するぞ」

A「勝手に進めるなよ」

B「俺が現場のリポーターをやるから、お前はスタジオで見てろ」

A「おい…」

B「(マイクを構える)えー、さっそく現場に到着しました」

A「ちょっと…」

B「ここが近隣からの苦情が集まっているゴミ屋敷です、ちょうどいいので置いて帰りましょう」

A「いやコント内の民家に空き缶捨てるな、いい加減にしろ」



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