漫才「握手会」
A「どうもー、よろしくお願いしますー」
B「お願いしますー」
A「あのー、実は俺、最近アイドルにハマっててさ」
B「ほう」
A「握手会とか行ってみたいんだけど、いざ行ったら絶対緊張してまともに喋れないから今日はここで練習しておきたいんだよね」
B「なるほど」
A「じゃあ俺がファンをやるから、お前はちょっとアイドルを…」
B「あー、ごめん、無理だわ」
A「ん?」
B「気持ちは分かるけど、それはちょっと無理だわ」
A「え?どうして?」
B「だってお前、券持ってないじゃん」
A「券…?」
B「俺の握手券、一枚も持ってないじゃん」
A「いやそんなもん誰も持ってないだろ、そもそも発行されてないんだから」
B「それじゃあ申し訳ないけど握手はできないね」
A「ふざけんなよ、なんで相方と握手するのに券が要るんだよ」
B「だってお前とだけタダで握手したらファンの人達に悪いじゃん」
A「1人も居ねえだろファンなんて、架空の人間に配慮すんな」
B「まあとにかく券を持って来ないことには…」
A「存在しないものは入手できないだろ、いいから早くやらせろよ」
B「そんなに俺と握手しないなら、まずはアイドルのイベントとか行って練習してきたら?」
A「いや逆なんだよ、なんでお前が本番扱いになってるんだよ」
B「だってそうしないといざ俺と握手する時緊張して上手く話せないよ?」
A「緊張とかしないから、するとしたら絶句だから」
B「そもそもお前、いい年してアイドルの握手会なんか行こうとするなよ」
A「それは俺の勝手だろ、個人の趣味なんだから」
B「いやいや、そんなことに時間とお金を割くべきじゃないわ」
A「別にいいだろ」
B「まあ、今日は代わりに俺がもっと楽しい場所に連れて行ってやるから付いて来いよ」
A「え?楽しい場所って?」
B「ラブ・スマイルの空中ハグ会だよ」
A「いやめちゃくちゃダサい地下アイドルの変なイベントじゃねえか、一生行かねえよ」
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