漫才「旅行のピーク」

A「この前友達と温泉旅行に行ってきてさ」

B「へー、そうなんだ」

A「でもあれだね、旅行のピークって当日じゃないね」

B「え？どういうこと？」

A「もちろん旅行自体も楽しかったんだけど、結局色々計画したり準備してる時間が一番楽しかったわ」

B「あー、分かる分かる、俺も全く同じ経験したことあるよ」

A「マジで？」

B「なんかこう、確かに最後も炎を避けたりして大変だったんだけど」

A「ん？」

B「結局中盤の水中とか地下のやつの方が苦労したんだよね」

A「いやお前、旅行のピークの話じゃなくて、マリオの難易度の話してるな」

B「え？」

A「ラストのクッパ戦よりそこまでの道中の方が難しかった話してるな」

B「あれ？元々マリオの難易度の話じゃなかった？」

A「違うよ、旅行のピークが当日じゃないって話よ」

B「あー、申し訳ない、間違えちゃったわ」

A「頼むよ」

B「ごめんごめん、でもどうせなら旅行の話も詳しく聞きたいな」

A「あー、旅行ね、実際に行ってみて思ったけど、あれはやっぱり性格が出るよね」

B「ほうほう」

A「俺は割ときっちり計画して、その通りに動きたいんだけど」

B「うん」

A「友達は気になった店にフラッと入ってみたり、そういうのが好きみたいで」

B「うんうん」

A「あと俺は結構人見知りなんだけど、そいつは現地の人とすぐ仲良くなったりしてたね」

B「あー、なるほどね」

A「そういう時にやっぱり性格の違いは感じるよね」

B「いやー、めちゃくちゃ分かる、俺も全く同じ経験したことあるよ」

A「マジで？」

B「俺は175cmなんだけど、そいつは2.5mくらいあったりして」

A「ん？」

B「あと俺は雑食なんだけど、そいつは草類や木の葉、コケ類などを食べててさ」

A「え？」

B「それで俺は結構人見知りなんだけど、そいつは知らない人に胃の内容物を吐きかけたりしてたね」

A「いやお前、自分と友達の性格の違いの話じゃなくて、自分とラマの生態の違いの話してるじゃねえか」

B「え？」

A「俺は175cmなんだけど、じゃねえよ」

B「あれ？元々自分とラマの生態の違いの話じゃなかった？」

A「違うよ、旅行は性格が出るって話よ」

B「ああそうか、申し訳ない、間違えちゃったわ」

A「頼むよ」

B「ごめんごめん、それで旅行はどうなったの？」

A「ああ、まあ、最後にちょっと面白いことがあってね」

B「ほうほう」

A「メガネ外して露天風呂に入ってたら、なんかすごい大きい声で話しかけてくる人がいて」

B「うん」

A「ヤバい奴に絡まれちゃったなと思ってよく見たら、偶然居合わせた親戚のおじさんだったんだよね」

B「へぇー…」

A「裸眼だから途中まで気付かなくてさ」

B「ああ、ねぇー…」

A「…うーん、あんまり面白くなかった？」

B「え？いや、まあ、全然よかったよ」

A「でもなんか反応が微妙だったからさ」

B「ああ、じゃあはっきり言っていい？」

A「うん」

B「正直この旅行の話のピークは、旅行のピークの話してる時だったわ」

A「あー、すごくややこしいし普通にショックだ」