漫才「目撃者」

A「最近の名探偵コナンは物騒な事件が多いね」

B「あれは四半世紀前からずっと物騒だから」

A「ニュースなんか見てても怖い事件ばっかりよ」

B「まあ確かに」

A「手作りバンジージャンプくらい怖いからね」

B「じゃあ相当怖いね」

A「犯人を捕まえるには目撃者の証言が一番大事らしいから」

B「ほうほう」

A「俺がその目撃者、お前が刑事、長谷川が被害者で試しにやってみよう」

B「謎の第三者に役与えないで」

A「(真っすぐ上を見る)」

B「すみません、この公園で起こった事件を目撃された方ですか?」

A「はい」

B「では詳しい状況を教えてください」

A「ババロアみたいな雲がスプーンみたいな雲に追いかけられてます」

B「いや空の状況じゃなくて」

A「(視線を戻す)刑事さんですか?」

B「そうです、刑事の田中です」

A「目撃者のもっと田中です」

B「もっと田中ってなんだ」

A「捜査は進んでるんですか?」

B「実はまだ情報が少なくて。こういう場合は目撃された方の証言が大事なんです」

A「じゃあ僕も責任渋滞ですね」

B「重大ですね、責任は車道走らないので」

A「初心に帰って頑張ります」

B「なぜ少し慣れてたんだ」

A「しかし驚きましたよ、近所の公園でこんな事件が起きるなんて」

B「そうですよね」

A「今朝もいつも通りベンチでジグソーパズルしてたんですけど」

B「屋外でやってる人初めて見た」

A「しばらくしたら四つ子のお婆さんが入ってきて」

B「もうある意味事件ですけど」

A「そのまま三つ子のお爺さんと合流したんですよ」

B「三つ子のお爺さんは既に居たんですね」

A「余ったお婆さんはシーソーの反対側に砂袋を置いて遊んでました」

B「かわいそうに」

A「そのあとボディビルダーの女が入ってきて」

B「ボディビルダーの女?」

A「持参したタイヤを地面に突き刺してました」

B「あの遊具ってそうやってできてるんだ」

A「それからピエロの親子が玉乗りしながら入ってきたんですけど」

B「変な奴ばっかり来るな」

A「小さい玉に父親が乗って、大きい玉に子供が乗ってるんですよ。おかしくないですか?」

B「いや知らねえよ、どうでもいいわそんなこと」

A「とまあここまではいつもの光景なんですけど」

B「どんな公園だよ」

A「そこに見知らぬ男二人が現れて口論しだして」

B「ほうほう」

A「片方がペリカンのクチバシでもう一人の胸を刺したんですよ」

B「キモい殺し方だな」

A「恐ろしい事件でしたよ」

B「それで犯人の特徴は?」

A「小柄で色白で羽が生えてました」

B「いやペリカンの特徴はいいから」

A「この場合手錠って足にかけるんですか?」

B「ペリカンに罪はないので刺した男の特徴をお願いします」

A「男の方もばっちり見ましたよ、なんか影みたいな感じでした」

B「影?」

A「はい、全身真っ黒で目つきが鋭かったです」

B「いやそれコナンの世界の犯人じゃねえか、もういいよ」






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