漫才「手術の約束」

A「この前困ってるひったくり犯を助けて逃がしてあげたんだけど」

B「ただの共犯じゃねえか、そのせいでもっと困ってる人がいるから」

A「やっぱり人助けって大事だよね」

B「それはそうだけど」

A「お前なんて人に助けられてばっかり」

B「そんなことないよ」

A「一人じゃ漫才もろくにできないし」

B「当たり前だろ」

A「だから人を助ける練習をした方が良いと思う」

B「練習?」

A「例えば手術を怖がる子供に会って勇気づける野球選手」

B「あのかっこいいやつね」

A「あれを体験すれば、優しさに目覚めてもう野良猫とかいじめなくなるはず」

B「そんなことしてないわ」

A「俺が病気の子供をやるから、お前は猫を逃がして病室まで来て」

B「だからやってないって」

A「手術なんて絶対に嫌だ!」

B「(入ってくる)ケンジくん、はじめまして」

A「あれ?おじさんもしかして…」

B「知ってくれてるかな?」

A「SASUKEのファーストステージでいつも頭から落ちる人?」

B「違うよ」

A「すごい本物だ!大ファンです!」

B「いやごめん違うよ、ジャイアンツの鈴木だよ」

A「そっか、でもすごい」

B「妥協させちゃったね」

A「いつも年俸が上がるように応援してます」

B「現実的な応援ありがとう」

A「それで2割7分がどうしてここに?」

B「打率で呼んでるんだね。今日は君が手術を怖がってると聞いて、励ましに来たんだよ」

A「そうなんだ、盗塁しようとして迷い込んだのかと思った」

B「そこまで馬鹿じゃないよ」

A「2割6分が来てくれたのは嬉しいけど、手術は受けたくない」

B「打率は下がっちゃったけどきっと成功するよ」

A「オペならいいけど手術は嫌だ」

B「同じことだから大丈夫」

A「あんなに言いにくい部屋行きたくないよ」

B「手術室の発音が怖いのね」

A「僕やっぱり勇気が出ない」

B「じゃあもし明日の試合で僕がホームランを打ったら、ちゃんと手術を受けてくれるかい?」

A「…分かった、せっかく来てくれたんだし頑張る」

B「よかった!絶対にホームラン打つからね!」

A「もし打てなかったら麻酔なしで受けるよ」

B「いやそんな危険なペナルティ受けなくていいよ」

A「じゃあ最後にもう一つだけ約束してくれる?」

B「どんな約束?」

A「僕も頑張るから、次こそセカンドステージに進出してよ」

B「いやSASUKEは一回も出てないわ、もういいよ」



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?