漫才「目覚まし」

A「あのー、実は俺、ちょっと悩みがあって」

B「ほう」

A「どうしても朝早く起きられなくて、よく寝坊しちゃうんだよね」

B「あー、なるほど」

A「それで仕事にも遅れたりして迷惑かけちゃってるから、何とかしないとなと思ってるんだけど…」

B「うーん、ちなみに今はどんな対策をしてるの?」

A「えーっとね、目覚まし時計を枕元に置いてる」

B「なるほど、目覚まし時計ね」

A「もちろんちゃんと扉の部分をこっちに向けてて」

B「え…?」

A「開いて飛び出してきた時の風圧も感じられるし」

B「開いて飛び出す…?」

A「鳴き声もなるべくはっきりと聞こえるようにしてるよ」

B「いやこいつ鳩時計使ってるじゃん」

A「それでもなかなか起きられなくてね」

B「目覚ましに鳩時計使う奴いないから」

A「だから鳩の数を増やしたりして工夫したんだけど」

B「鳩の数を増やす…?」

A「雛の鳴き声が小さすぎて、結局親鳥部分しか機能してなくてさ」

B「雛?親鳥?」

A「やっぱりそれだとまだ起きられないんだよねー」

B「いやこいつ鳩一家時計使ってるじゃん」

A「結構苦労して改造したのにガッカリだよ」

B「目覚ましに鳩一家時計使う奴いないから」

A「でも諦めるわけにはいかないから、俺も色々と考えてさ」

B「何も考えるな、普通の目覚まし使え」

A「鳩たちに道具を持たせることにしたんだよ」

B「道具?」

A「親鳥にはショットガンとバズーカ」

B「え?」

A「雛たちにはマシンガン」

B「マシンガン…?」

A「これを一気に打ち込んでもらえれば起きられると思ったんだけど」

B「いやこいつ、鳩一家鬼武装時計使ってるじゃん」

A「でも結局命中率が低すぎて、全然起きられなかったんだよねー」

B「目覚ましに鳩一家鬼武装時計使う奴いないから」

A「何週間もかけて改造したのに残念だよ」

B「だから普通の目覚まし使えって」

A「それでもう仕方ないから、全体を虹色に塗って派手にしたり、中で柴犬を飼ってみたり、めちゃくちゃデカくてめちゃくちゃ臭い花を植えてみたりしたんだけど全然ダメで」

B「いやこいつ七色鳩一家鬼武装もふもふラフレシア時計使ってるじゃん」

A「結局普通に昼過ぎまで寝ちゃったりしてさ」

B「目覚ましに七色鳩一家鬼武装もふもふラフレシア時計使う奴いないから」

A「いやー、ほんと困っちゃうよねー」

B「あともうさすがに起きろよ、臭いしうるさいし攻撃されてるんだから」

A「これ以上改造もできないし、どうすればいいか全く分からなくて…」

B「っていうかお前、何時に寝てるの?」

A「え?」

B「目覚ましの効果が無かったとしても、毎日昼過ぎに起きるってちょっと遅すぎじゃない?」

A「あー、まあでも、それは仕方ないんだよ」

B「仕方ない?」

A「だって俺、毎日時計の改造に追われて明け方まで起きてるから」

B「いや絶対それが原因だろ、普通の目覚まし買って普通に寝ろ」



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