漫才「美容師」

A「最近物忘れがひどくて、どっちが東京03でどっちがアルファルファか分からなくなるんだよね」

B「3分の2は一緒だからね」

A「オンバト出てた方がアルファルファか」

B「03でも出てるよ」

A「完全にファ忘れしちゃってるわ」

B「ド忘れね、アルファルファに引っ張られて音階間違えてるから」

A「年を取ると記憶力って落ちるもんだね」

B「まあそれはそうだね」

A「俺なんて自分の仕事も思い出せないし」

B「漫才師だよ、今何やってると思ってるんだ」

A「今のところ美容師の可能性が高いね」

B「なんでだよ」

A「話がつまらないから」

B「悲しい推理するな」

A「やってみたら思い出すかもしれないから再現してみよう」

B「再現というか捏造なんだけど」

A「俺が美容師をやるから、お前は記憶のドアを叩き続けて」

B「誰もいない部屋をノックするのか」

A「いらっしゃいませ!」

B「ああどうも」

A「ハッピーセットでご予約の小林さんですか?」

B「違いますよ、何だその予約制のマックみたいな客」

A「おもちゃの恵俊彰が付いてきますけど」

B「どの層にも刺さらないわ」

A「ご予約のほうは?」

B「14時で予約した佐藤です」

A「19時に帰宅する松浦です」

B「知らねえよ」

A「是非最後までお付き合いください」

B「嫌ですよ」

A「今日はどういった感じで?」

B「適当に揃える感じでいいです」

A「そうじゃなくて意気込みを聞いてます」

B「じゃあ早く終わってくれと思ってます」

A「どういたしまして」

B「どんな解釈したんだよ」

A「それでは目元にシャンプーしていきますね」

B「絶対にやめてください」

A「理不尽だと思ったら手を上げてください」

B「(手を上げる)」

A「あれ?今は質問コーナーじゃないですよ?」

B「自分で作ったルール忘れるなよ」

A「お湯の温度は熱湯、激熱、ほとんどマグマとございますが」

B「地獄一択じゃねえか、もう怖いのでシャンプーはいいです」

A「では首元カットしていきますね」

B「なんで人間の弱点ばっかり攻めて来るんだよ、髪切ってくれ」

A「了解しました(髪を触る)」

B「あっ、雑誌かなんかありますか?」

A「僕の日記ならありますけど」

B「じゃあ大丈夫です」

A「でも右手で書いたから読めないかもな」

B「左利きなんですか?」

A「いや両利きです」

B「何なんだ腹立つな」

A「卵も両手で割れます」

B「あれは片手で割れる方が凄いんだよ」

A「そうだお客さん、めちゃくちゃ面白い話があるんですけど」

B「おお、何ですか?」

A「今日ハサミ忘れてきました」

B「ふざけんなよ、何の時間だったんだ今」

A「それで料金なんですが…」

B「何もしてないのに払えないわ」

A「(手を上げる)」

B「いやどこが理不尽なんだよ!もういいお前やめろ」

A「どうした?」

B「どうしたじゃなくて、お前全然美容師できてないじゃん」

A「漫才師なんだから当たり前だろ」

B「そっちを思い出したのか」

A「そもそもなんで美容師なんかやらせたの?」

B「お前が言い出したんだろ」

A「ごめん、全く覚えてないわ」

B「いや記憶の入れ替わり激しいな、もういいよ」




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