漫才「焦る」

A「俺、昔からよく焦りすぎてミスしたり、トラブルに巻き込まれたりするのよ」

B「へぇー、そうなんだ」

A「実はこの前も大変なことがあってさ」

B「ほうほう」

A「ボドなかに誘われて映画見に行くことになったんだけど、しんももしてて寝過ごしちゃってさ」

B「…え?」

A「それで慌てて飛び起きたら思いっ切り転んじゃって…」

B「ちょっと待って」

A「ん?」

B「いや、なんかボドなかとかしんももとか、聞いたことない単語が出てきたんだけど」

A「あー、ごめんごめん、また出ちゃってた?」

B「何?どういうこと?」

A「俺、いつも焦って早く喋ろうとして、色んな言葉を略しすぎちゃうんだよね」

B「略しすぎる?じゃあボドなかっていうのは…?」

A「ボードゲーム仲間」

B「しんももは?」

A「深夜に桃鉄」

B「いやそんなもん伝わるわけないだろ」

A「申し訳ない」

B「焦って転んだ話を焦って略すなよ」

A「まあでも無意識に出ちゃうのよ、もう癖になってるから」

B「じゃあもう、知らない単語が出てきたらその都度聞くわ」

A「はいはい、了解」

B「それで結局、焦って転んでその後はどうなったの?」

A「ああ、えーっとね、まずは急いでボドなかに電話して」

B「ボードゲーム仲間ね」

A「そしたらやっぱり向こうはもうとっくに着いててさ」

B「あー、待たせちゃってるんだ」

A「そうそう、あいつ元々にわあさだから」

B「にわあさ…?」

A「ニワトリより朝早い」

B「うわめちゃくちゃ早いじゃん」

A「だから俺も急いで向かおうと思ったんだけど、立ち上がったら足に激痛が走って」

B「ほう」

A「どうやら転んだ時に痛めちゃったみたいで、まともに歩けないのよ」

B「あらら」

A「もう完全にぞうそく」

B「ぞうそく…?」

A「ゾウガメと同じ速度」

B「じゃあ大分遅いな、あいつらスピードと引き換えに長生きしてるんだから」

A「そしたらボドなかも病院に行った方が良いって言ってくれて」

B「うわ、めっちゃ良い奴じゃん」

A「そうなんだよ、昔からぐらあつなんだよ」

B「ぐらあつ…?」

A「グラタンより熱い奴」

B「珍しいな、ボードゲーム愛好家に熱血のイメージ無いけど」

A「まあそれでそのまま病院で診てもらったら、ねだったんだよ」

B「ね…?」

A「捻挫」

B「いや3文字を1文字に略すなよ」

A「しかも俺、焦って家出たから財布忘れて来ちゃって」

B「最悪じゃん」

A「でもなんとそこにボドなかが心配して来てくれて、治療代とかも全部立て替えてくれたんだよね」

B「うわー、さすが熱血ボードゲーマー」

A「まあでも焦って周りに凄い迷惑かけちゃったから、これから気を付けなきゃって話ね」

B「なるほどねー、確かに気を付けないとねー」

A「お前は何かそういう経験無いの?」

B「え?」

A「焦って大失敗しちゃったこととか」

B「あー、全然あるよ」

A「マジで?例えばどんな話?」

B「えーっとね、俺この前、やくじかまちあわくるとばガドやぶりょこつしちゃったんだよねー」

A「え?何て?」

B「ああ、ごめんごめん、約束の時間を間違えて慌てて車を飛ばしてたらガードレール突き破って両足骨折しちゃったんだよねー」

A「うわ、めちゃくちゃ略してるし結構な事故起こしてる」



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