漫才「時給」

A「お前昨日の月末の木曜って何してた?」

B「何を聞かれてるんだ」

A「先週末って何してた?」

B「どれでもなかった」

A「俺は水飲んで横になってたんだけど」

B「何だその堕落した坊さんみたいな過ごし方」

A「めちゃくちゃ金欠なんだよ」

B「バイトとかしてないの?」

A「してるけど時給がめちゃくちゃ安くて」

B「どれくらい?」

A「今はかまぼこ4切れだね」

B「もう安いとかじゃないだろ、どんなバイトだよ」

A「自分と同じ重さの鶏肉を森に運ぶバイト」

B「目的謎なのに凄いきつそう」

A「だから本当ははんぺんにして欲しいんだけど」

B「練り物の優劣とか知らないから。ちゃんと金にしてもらえよ」

A「でも店長がすごく怖い人で」

B「そもそも店ではないと思うけど」

A「上手く交渉する自信ないからお手本見せてよ」

B「俺がお前をやって、お前がその店長をやるのね?」

A「そう、口の中に口の外のタトゥーが入ってる店長ね」

B「うわ全然意味分からない」

A「おい47番!作業は終わったのか?」

B「番号で呼ばれてる」

A「少しでも遅れると市の職員が文句言いに来るからな」

B「市からの依頼だった」

A「俺は向こうでエビピラフ食べてるからちゃんとやっておけよ」

B「すみません店長、話があるんですが」

A「何だ、エビの親戚か?」

B「違います、時給を上げて欲しくて」

A「今朝同じことを大本と西脇と樫野も言ってきたぞ」

B「Perfumeの本名と同じだ」

A「でもお前はダメだ、遅刻も多いしな」

B「そんなことないですよ」

A「俺が居てお前が居なかったらそれはもう遅刻だ」

B「理不尽すぎる」

A「先月なんて27927秒も遅れてる」

B「秒で数えるなよ気持ち悪い」

A「あと勤務態度も良くないわ」

B「ちゃんとやってるけどな」

A「ふざけた肩幅しやがって」

B「どういうことだよ」

A「軽自動車くらいあるだろ」

B「そんなにないですよ」

A「お前みたいな奴が高速走ってるの見たことあるぞ」

B「それは軽自動車でしょ」

A「あと服装も印象悪いな」

B「普通だと思いますけど」

A「それ大西ライオンがずっと着てるやつだろ?」

B「ほぼ裸じゃないですか」

A「完全に二番煎じだからやめた方がいいぞ」

B「そういう問題じゃないでしょ」

A「せめてライオンじゃなくて魚被るとかさ」

B「それはそれで居るから」

A「まあとにかく時給は上げられないな」

B「お願いしますよ、週末なんて家で水飲んで横になってたんですよ?」

A「俺だって店で寿司食って縦になってたよ」

B「めちゃくちゃ良いじゃないですか」

A「そもそもお前はどれくらい欲しいんだ?」

B「1000円くらいあれば」

A「え?そんなもんでいいのか?じゃあ別に構わないよ」

B「いいんですか?」

A「ああ、じゃあ今月からそれでいこう」

B「ありがとうございます」

A「(メモする)47番の時給を1000円分のさつま揚げに…」

B「いや練り物に変換する文化やめろ、もういいよ」









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