漫才「腑に落ちない」

A「はいどうもー、お願いしますー」

B「はどぅっ……お願いしますー」

A「大丈夫？はいどうもを全力で噛んでたけど」

B「ごめんごめん、大丈夫」

A「続けていい？」

B「うん、続けよう」

A「実は昨日、俺らがコンビを組んだ時のこと考えてたんだけどさ」

B「うん」

A「その日のことで、ちょっと腑に落ちないことがあって」

B「腑に落ちないこと？」

A「俺の記憶違いだったら申し訳ないんだけどさ…」

B「うん、何？」

A「俺、きびだんご貰ってないよな？」

B「…え？」

A「俺、お前の仲間になったのに、まだきびだんご貰ってないよな？」

B「…いや、お前何言ってんの？」

A「あの日お前から組もうって言ってきて、それなのにまだ…」

B「いやいや、頭大丈夫かよ？」

A「……」

B「俺、あげたじゃん」

A「え？」

B「俺、ちゃんときびだんごあげたじゃん」

A「あれ？そうだっけ？」

B「お前がくださいなくださいなうるさいから、特別に3つもあげたのに」

A「そうか、すっかり忘れてたわ」

B「俺本当は4人組でやりたかったのに、お前のせいでだんご足りなくなって仕方なくコンビで活動してるんだぞ？」

A「いやー、ごめんごめん、そうだったそうだった」

B「しっかりしてくれよ…」

A「ああでも、実はまだ腑に落ちないことがあってさ」

B「また組んだ時の話？」

A「いや、これは今日のことなんだけど」

B「ほう、何よ？」

A「お前、波動拳出してないよな？」

B「え？」

A「俺ちゃんとコマンド入力したのに、お前まだ波動拳出してないよな？」

B「いやいや、さすがに何言ってんの？」

A「ずっとおかしいなー、出ないなーと思ってて…」

B「おかしいのはお前だろ、ふざけるなよ」

A「……」

B「俺、ちゃんと最初に出してただろ」

A「え？」

B「お前さ、出番直前でコマンド入力しなかった？」

A「したした」

B「そのせいで俺、はいどうもーのタイミングで波動拳繰り出してたから」

A「あー、あれ噛んでたわけじゃなかったんだ」

B「そうだよ、変なタイミングで入力するなよ」

A「いやー、ごめんごめん、恥かかせちゃったね」

B「恥かいたのもそうだし、たぶん客席の何人かに当たってるからね？」

A「マジで？うわー、すみませんね皆さん」

B「ふざけるなよほんと」

A「でも、実はもう1つだけ腑に落ちないことがあってさ」

B「え？もういいって」

A「お前、まだ俺に『いい加減にしろ』って言ってないよな？」

B「いや今から言うんだよ、いい加減にしろ」