漫才「急がば回れ」

A「ちょっと昨日大変なことがあってさ」

B「大変なこと？何？」

A「実は先輩から頼まれてた作業の締め切りが今日の昼までで」

B「ほう」

A「結構時間もかかる作業だし、徹夜して早く終わらせようとしてたのよ」

B「うん」

A「でもそれで疲れ過ぎてミスとかしたら取り返しつかないじゃん？」

B「そうだね」

A「だからやっぱり一旦休んで、早めに起きて取り掛かろうと思ったんだけど」

B「あー、まあ、急がば回れって言うもんね」

A「布団に入ったらそのまま12時間寝ちゃってさ」

B「大分回ったね」

A「締め切りまであと2時間よ」

B「うわー、大変だ」

A「もう今すぐやらなきゃ間に合わないって状況」

B「うんうん」

A「でも、ここで焦りすぎてミスとかしたら取り返しつかないじゃん？」

B「そうだね」

A「だからまず、少し二度寝して」

B「あー、まあ、急がば回れって言うもんね」

A「それからスムージーを作って」

B「うん」

A「軽くジョギングして」

B「うんうん」

A「そのままシャワーを浴びて読書してたのよ」

B「いいねー、グルグル回ってるね」

A「そしたら先輩から電話が来てさ」

B「ほうほう」

A「時計見たらもう締め切りの時間過ぎてるのよ」

B「うわー、大変だ」

A「でもほら、ここで出ちゃうとテンパって変なこと言っちゃうかもしれないじゃん？」

B「そうだね」

A「だから一旦喫茶店に行って気持ちを落ち着かせようと思って」

B「まあ、急がば回れって言うもんね」

A「でも、今すぐ行ったら絶対パフェとか頼んじゃうじゃん？」

B「間違いないね」

A「だから家であらかじめパフェ食べておいて」

B「家にパフェあったんだね」

A「それで喫茶店行って帰ってきたら、先輩が家の前まで来ててさ」

B「うわー、大変だ」

A「でもほら、こんな口元にクリーム付けたままの姿で会ったら、パフェ食べたのバレちゃうじゃん？」

A「そうだね」

B「だから一旦全身にクリームを塗って、シュークリームの中に閉じ込められてたことにしようと思って」

A「まあ、急がば回れって言うもんね」

B「それで必死に塗りたくってたんだけど、その間に先輩帰っちゃったみたいで」

A「あらら」

B「結局、何もできないままここまで来ちゃったんだよね」

A「あー、そうなんだ」

B「うん」

A「まあでも、それはさすがに謝りに行った方がいいんじゃない？」

B「やっぱりそう思う？」

A「かなり迷惑かけちゃってるからね」

B「うーん、でもそうなると難しいな…」

A「え？」

B「これで今すぐ謝りに行くと、お前に言われたから仕方なく謝罪してるみたいになっちゃって、気持ちが入りにくいと思うのよ」

A「なるほどね」

B「だから一旦、バイト行ったり遊んだり飯食ったり酒飲んだり寝たりして、その後まだ覚えてたら謝りに行くわ」

A「あー、まあ、急がば回れって言うもんね」