漫才「レントゲン」

A「外はカリッと中はジューシーなところ悪いんだけどさ」

B「いや俺上手にできた唐揚げじゃないから」

A「実は昨日、体の調子が悪くなって病院に行って来たんだよ」

B「ほう、そうなんだ」

A「それで色々検査したんだけど」

B「うん」

A「レントゲンを見た先生が険しい顔してて」

B「うわ、怖いね」

A「どうやらいくつか影があるらしくて」

B「マジで？大丈夫なの？」

A「不安になって詳しく聞いてみたら、まず胃の中に何かあると」

B「ほう」

A「なんか色んな形の小さい欠片が、無数に散らばってるって言われて」

B「怖いな…」

A「それを聞いて俺は安心したのよ、病気とかじゃなかったから」

B「え？どういうこと？」

A「いや俺、そう言えば2日前にジグソーパズルを全飲みしてたんだよね」

B「あー、なるほど、心当たりがあったのね」

A「普通にやっても面白くないから、胃の中で組み立てようと思ってさ」

B「はいはい、お前そういうチャレンジャーな所あるもんね」

A「それで胃は解決したんだけど、どうやら今度は肺にも何かあると」

B「ほう」

A「なんか小さくて丸いものが激しく動いてるって言われて」

B「うわ、怖いな…」

A「それを聞いて俺はまた安心したのよ、病気とかじゃなかったから」

B「え？どういうこと？」

A「いや俺、実は肺の中でハムスター飼ってるんだよね」

B「あー、なるほど、心当たりがあったのね」

A「その子が走り続けて肺を回転させてたみたいでさ」

B「はいはい、肺にハムスター入れたらまあそうなるよね」

A「それで肺は解決したんだけど、どうやら今度は心臓にも何かあると」

B「ほう」

A「なんか心臓の輪郭が連なって見えるって言われて」

B「うわ、怖いな…」

A「それを聞いて俺はまた安心したのよ、病気とかじゃなかったから」

B「え？どういうこと？」

A「いや俺、実は心臓の表面に心臓のタトゥー入れてるのよ」

B「あー、なるほど、心当たりがあったのね」

A「あと心臓でタバコ吸ってたこともあるし」

B「はいはい、お前心臓だけヤンキーだった時期あるもんね」

A「それで心臓は解決したんだけど、どうやら今度は臓器と臓器の隙間にも何かあると」

B「ほう」

A「なんかカードみたいな物が挟まってるって言われて」

B「うわ、怖いな…」

A「それを聞いて俺はまた安心したのよ、病気とかじゃなかったから」

B「え？どういうこと？」

A「いや俺、ちょうど保険証なくして困ってたんだよね」

B「あー、なるほど、心当たりがあったのね」

A「どれだけ探しても見つからなくてさ」

B「はいはい、探し物してたら結局臓器と臓器の隙間だった、ってよくあるよね」

A「それでまあ、身体に病気は見つからなかったんだけど」

B「よかったね」

A「でも実はしばらく入院することになっちゃってさ」

B「え？健康だったのに？」

A「なんか、セラピーに参加したりカウンセリングを受けたりするんだって」

B「あー、なるほど、致し方ないね」