漫才「願い事」

A「どうもー、よろしくお願いしますー」

B「お願いしますー」

A「あのー、実は俺、最近SF映画にハマっててさ」

B「ほうほう」

A「特にあの、エイリアンが地球を侵略しに来るやつが好きなんだよね」

B「あー、面白いよね」

A「だから今日はちょっと、ここで好きなシーンを再現してみたいなと思ってさ」

B「はいはい、いいね」

A「じゃあ俺がエイリアンになって攻撃するから、お前は地球人を…」

B「ソファーが欲しい!ソファーが欲しい!ソファーが欲しい!」

A「え…?」

B「よし!言えた!」

A「おい何なんだよ、いきなり大声出すなよ」

B「ああごめん、今流れ星が見えたから咄嗟に願い事しちゃった」

A「いや見えるわけないだろ、ここめちゃくちゃ屋内だぞ」

B「なんとか3回言えてよかったわ」

A「何回言っても意味ないのよ、何も流れてないんだから」

B「これで絶対に叶うはず」

A「叶わないよ、そもそも流れ星にそんな具体的な物頼むなよ」

B「今度引っ越しするから買い換えたいと思ってたんだよね」

A「だからって星に願うな、ソファーは一回ちゃんと座ったりして選べ」

B「まあそれもそうか」

A「とにかく今日はSF映画の再現だから、次は普通に協力してくれ」

B「はいはい」

A「じゃあ俺がエイリアンをやるから、お前はそのまま地球人を…」

B「テーブルが欲しい!テーブルが欲しい!テーブルが欲しい!」

A「おいまたかよ」

B「今大量に流れ星が…!」

A「流れてねえよ、ってか流れてても漫才中は黙れよ」

B「すごい!流星群だ!」

A「もう幻覚見てるじゃん」

B「ベッドが欲しい!ベッドが欲しい!ベッドが欲しい!」

A「おい…」

B「本棚が欲しい!本棚が欲しい!本棚が欲しい!」

A「ちょっと…」

B「食器棚が欲しい!食器棚が欲しい!食器棚が欲しい!」

A「いや流れ星で家具一式揃えようとすんな」

B「おー!どんどん部屋が埋まっていくわ!」

A「お前いい加減にしろよ?」

B「え?」

A「さっきからふざけたことばっかり言いやがって、完全に時間の無駄じゃねえか」

B「ああそう」

A「これ以上付き合ってられないわ、もう帰らせてくれ」

B「あー、それならあと2回じゃない?」

A「え?」

B「あと2回同じこと言えば、帰らせてもらえるんじゃない?」

A「いや俺星に願ってるわけじゃないのよ、勝手に帰らせてくれ」



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