漫才「マネージャー」

A「俺ももう72キロになるしそろそろ転職しようと思ってて」

B「あんまり転職と体重関係ないと思うよ」

A「こんな風船でプードル作るだけの日々はうんざりなんだよ」

B「一回もやったことないけどね」

A「やりたい仕事は他にたくさんあるから」

B「何がしたいの?」

A「洗濯とか芝刈りとか鬼退治とか」

B「なんで桃太郎一家の仕事ばっかりなんだよ」

A「あと不審者が侵入した時に吠えて威嚇したり」

B「それは大型犬の仕事だから」

A「でも一番やってみたいのはマネージャーね」

B「マネージャーなんてめちゃくちゃ大変な仕事よ?」

A「大丈夫、絶対向いてるから」

B「そんなに自信あるんだ」

A「ペンギンのボブスレーくらい向いてるわ」

B「めちゃくちゃ向いてるじゃん、あれほとんどペンギンのモノマネ大会なんだから」

A「じゃあ俺が新人マネージャーやるからお前はチャンプルー中谷やって」

B「架空の面白くなさそうなピン芸人ね」

A「(お辞儀)おはようございます!」

B「ああ、君が新人の?」

A「はい、今日は遅れてしまってすみません」

B「初日から遅刻か」

A「間違えて別のチャンプルー中谷さんの所に行ってしまって」

B「同じ芸名の奴いるのかよ」

A「向こうは本名です」

B「じゃあ完全にこっちが悪いわ」

A「島根に17人いるみたいです」

B「いや多いな、沖縄ですらないのか」

A「今日からよろしくお願いします」

B「まあよろしくね」

A「そうだ、飲み物を用意しておいたんです」

B「気が利くね」

A「どうぞ、常温のグアヅィピアです(渡す)」

B「いや知らない常温の液体怖いわ、お茶とかにしてくれ」

A「すみませんこれしかなくて」

B「どんな現場だよ」

A「そしてこちらが今日の衣装になります(渡す)」

B「おお、今日は映画の撮影だよね」

A「はい、ジョーズ4のホホジロザメ役です」

B「断るべきだったわ」

A「なんとなく青っぽい服を用意しました」

B「そんなことで表現しきれないから」

A「人を食べるシーンでは人を食べてもらいます」

B「実際に?俺そんな一線越えたくないんだけど」

A「そう思って監督と話してみたところ、生しらす丼をかき込むシーンに変更になりました」

B「だいぶ手前で踏みとどまったね」

A「今後のスケジュールを確認してもらってもいいですか?」

B「今日はもうグルメ番組になりそうだしいいよ」

A「まず明日はゴルフ雑誌の取材ですね」

B「え?俺ゴルフなんてやったことないけど」

A「やってる人に話を聞きに行くんです」

B「取材する方かよ、ただの雑誌記者じゃねえか」

A「そのあと別の雑誌から取材を受けます」

B「ちゃんと受けるほうね」

A「ただこれはイニシャルしか載らないみたいです」

B「それゴシップ誌の謎の関係者だろ」

A「明後日は地方でイベントがあります」

B「何するの?」

A「島根で17人のチャンプルー中谷と対談します」

B「頭おかしくなりそうだよ」

A「週末は海外ロケですよ」

B「おお海外か」

A「香港で無免許の医師に整形されます」

B「どんな番組なんだよ」

A「目の数が奇数になると聞いてます」

B「増えても減っても最悪だから、絶対断ってくれ」

A「そして来週はCMの撮影が入ってますね」

B「いいね、何のCM?」

A「グアヅィピアです」

B「いやさっきの知らない液体かよ!もういいわお前」

A「どうだった?」

B「全然できてないよ」

A「マネージャーって難しいな」

B「絶対向いてないから」

A「じゃあ俺はこれからもバルーンアートで頑張っていくわ」

B「いや漫才を頑張ってくれ、もういいよ」




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