漫才「サッカー部」
A「お前、学生時代何かスポーツとかやってた?」
B「あー、いや、俺は帰宅部だったから」
A「そうなんだ」
B「お前は何かやってたの?」
A「俺はずっとサッカーやってたね」
B「おお、サッカーか」
A「実はプロを目指してた時期もあって」
B「マジで?」
A「うん、結構良い所までは行ったんだけどね」
B「もしかしてJリーグのクラブのユースチームでやってたとか?」
A「ああいや、部活だね」
B「じゃあやっぱり強豪校?」
A「うーん、そういうわけでもない」
B「ほう」
A「でも毎日朝早くからグラウンドに行って特訓してたね」
B「なるほどね、特訓ってどんなことするの?」
A「まあまずは自分でグラウンドにラインとか引かなきゃいけないんだけど」
B「うん」
A「グルーっと一周回って外側のタッチラインを引いて」
B「はいはい」
A「その後は内側のラインね」
B「ああ、あの真ん中の丸いやつとか?」
A「いや、そういうことじゃなくて」
B「え?」
A「小っちゃい四角」
B「小っちゃい四角?」
A「小っちゃい四角を81マス」
B「小っちゃい四角を81マス?」
A「これを引き終わったら次はボールを40個用意して」
B「40個?多くない?」
A「それに文字書いて並べて、みんなで将棋してた」
B「いやなんで朝からグラウンドで将棋してるんだよ」
A「そうすることで戦略的な思考を身に着けてたのよ」
B「効率悪すぎだろ、81マス書いてる時間とか何考えてたの?」
A「将棋のこと」
B「もうそれ将棋部じゃん」
A「あと週末は練習試合もしてたね」
B「練習試合?」
A「他校のチームと対戦するんだけど、これが緊張するんだよね」
B「ああそう」
A「まず自分がスタメンに選ばれるかどうか?っていうのもあるし」
B「あー、なるほど」
A「この20人の枠に自分が含まれているのか?という…」
B「20人?11人じゃないの?」
A「その選ばれた20人がそれぞれ文字を書いて」
B「え?」
A「決められたフォーメーション通りに並んで」
B「やめて…」
A「みんなで必死に将棋してたね」
B「いやなんですぐ将棋しちゃうんだよお前らは」
A「それで対局後はお互いの健闘を讃え合うんだけど」
B「もう対局って言ってるし」
A「よくテンション上がって角を交換してる奴もいたね」
B「駒取り合ってるだけじゃねえか」
A「いやー、本当に最高のサッカー部だったなー」
B「それただのめちゃくちゃアウトドアな将棋部だから」
A「まあでも、結局プロにはなれなかったけどね」
B「当たり前だろ、全然サッカーしてないんだから」
A「良い所までは行ったんだけどねー」
B「そんなわけないだろ、嘘付くなよ」
A「いやいや、本当だよ」
B「ろくに練習もしてないのに?」
A「してたって」
B「してないだろ」
A「してたよ、そうじゃなきゃ奨励会三段なんて行けないから」
B「いや将棋のプロ目指してたのかよ、いい加減にしろ」
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