どうすれば幸福になれるか?エピクロスの答え

エピクロスは、古代ギリシャのサモス島に生まれた哲学者である。エピクロスは、快楽主義者として知られているが、彼が求めた快楽とは、肉体的な享楽ではなく、精神的な平静であった。

彼は、人間の欲求を〈自然的なもの〉と〈不自然的なもの〉に分け、自然的な欲求は適度に満たすことで肉体的な苦痛を避けることができると考えた。一方、不自然的な欲求は際限なく増えることで肉体的な苦痛だけでなく、精神的な苦痛も招くと考えた。例えば、〈富や名声や権力〉といったものは不自然的な欲求であり、それらを得るためには多くの努力や競争や危険を伴い、それらを失うことで不安や恐怖や悲しみを感じることになると考えた。

そこで、エピクロスは、肉体的な快楽よりも精神的な快楽を重視した。彼が目指した精神的な快楽とは、アタラクシア(ataraxia)と呼ばれる心の平静不動の状態であった。アタラクシアに達するためには、不自然的な欲求を捨て去り、自分の内面に目を向けることが必要であった。エピクロスは、〈友情や知恵や自由〉といったものがアタラクシアに必要な要素であると考えた。友情は人間関係の安定や信頼感を与え、知恵は自然や人生に対する理解や洞察力を与え、自由は外部からの圧力や束縛から解放されることを意味した。

以上のように、エピクロスによれば、肉体的な快楽を避け、精神的な快楽を求めるには、自然的な欲求を適度に満たし、不自然的な欲求を捨て去り、友情や知恵や自由を大切にすることが必要であった。これらのことを実践することで、心の平静不動の状態であるアタラクシアに近づくことができると考えられた。このような生き方が誰にでも合っているかどうかはわからないが、参考にしてみてほしい。

エピクロスに影響を受けた人物

エピクロスの考え方を発展させた哲学者はいくつか存在します。たとえば以下のような哲学者がいます。

  • ルクレティウス(紀元前99年頃 - 紀元前55年頃)は、ローマの詩人であり、エピクロスの自然学や倫理学をラテン語の詩に託して伝えた人物です。彼の代表作である『物の本質について/事物の本性について』(De rerum natura)は、エピクロスの原子論や快楽主義を詳しく解説した長編叙事詩であり、中世やルネサンスにおいてエピクロス主義の影響を広める役割を果たしました。

  • ピエール・ガッサンディ(1592年 - 1655年)は、フランスの哲学者であり、エピクロスの原子論や快楽主義をキリスト教と調和させようと試みた人物です。彼は、エピクロスの著作をラテン語に翻訳し、注釈や批判を加えた『エピクロスの生涯と教説』(Syntagma philosophicum)を出版しました。彼は、エピクロスの自然学や倫理学に賛同しながらも、神の存在や霊魂の不滅などを否定する点には反対しました。

以上のように、エピクロスの考え方を発展させた哲学者は様々な時代や分野で活躍しました。

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