10/24 夜の散歩は線路を越えて
最近、家庭内で散歩が流行っている。いや、流行らせてようとしている。夫は(もっと激しい)運動を始めたいらしいが、続かないトレーニングより続く散歩だと密かに思っている。
もともと、意味もなく歩くのが好きだった。都会に来てからは尚更だ。お店も家も道路もどこまでも続いていて、夜も必ずぴかぴかしていて、いつも何かの匂いがする東京の散歩はとても愉快ですばらしい。
先日は主要駅の方を周ったけれど、昨日は小さな駅方面へ歩いた。大学時代に馴染みのあった、一橋学園駅の辺りによく似ている。中に入らないと注文できない和菓子屋。電飾の多すぎるカレー屋。ほかほかの空気を吐き出すコインランドリー。ケーキ屋かと思ったらまさかのキッシュ屋。入るには少し勇気のいりそうな店たちを、半分冷やかしながら歩く。もう越してきて2年経とうとしているのだから、これからはもっと勇気をふるっていこうと思う。
途中、線路にぶつかった。踏み切りの先へも少し行くことになった。踏み切りはいつだって、苦しい気持ちと、生きる、ということを思い起こさせる。身の回りに居てくれるものや人は、どんなときでも、いつでもぎゅっと掴んでおかないとと強く思う。絶対に離してはだめだ。もちろん自分自身も。こわい場所で、決意の場所。そんな話は人としないけど。
踏み切りの先には、たぶん「本物」の駄菓子屋があった。本物が初めてだったから分からないけど、イオンとかにある、なんて言うか作り物、の駄菓子屋ではなさそう。タバコと当たり付きグミが隣で売られていた。買い物しようとは思わなかったけど、線路を越してきた意味が見つかって嬉しくなった。
飲食店は色々あったけれど、ピンとくるものはなくて、結局反対方面に戻ってきてからハヤシライスを食べた。散歩ってそんなものだなと思うので納得して食べた。500円はとても安かった。
大した距離ではないのに、前日の疲れもあって驚くほど体が重くなってしまった。近所の散歩はすぐ帰れるのもいい所だ。いつも通り民家の壁にヤモリを探しながら帰った。(いなかった。涼しくなってどんどんいなくなるみたい、少し寂しい。)
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