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店長のフライパン哲学 14章

フライパン調理の実際 揚げる

揚げる調理は、ディープフライと呼ばれるように、食材が浸る程度の深い油を使う調理です。 その点では、オーブンと同じように食材は全体から熱を受けることになり、加熱むらがなくなります。 そこで、トンカツを揚げてみましょう。下準備で豚肉に小麦粉、溶き卵、パン粉の順番で付けておきます。 そして、油を160~180度の適温にして、食材を投入していきます。 その時、厚手のお鍋を使うことと合わせて、直径24cm以上の大きめのお鍋を使うことをおすすめします。

揚げ物におすすめの極JAPAN天ぷら鍋M(24cm)

油の量が多いことで、食材を投入しても冷めにくくなるのです。 また、揚げる時には、蓋をしません。食材が油に触れたところでは、食材表面の水分が蒸発して、代わりに油が吸収されています。 これを水と油の交代現象とも呼びます。この現象が円滑に進むとカラリと揚がります。 ところが、蓋があると、この交代を妨げます。 これと同じように、いわゆる疲れた油で揚げると、泡立つようになり、この交代を妨げます。 そのため、新しい油に適宜交換して行くことも大切です。

トンカツのように厚みがあり比較的熱の通りにくい食材は、2回に分けて揚げることがあります。 それは、食材の中心まで熱が通るのに時間がかかるため、180度で時間をかけてしまうと、内部に熱が通る前に、表面が焦げてしまいます。 そのため、第一段階は、150度の低温で、じっくりと時間をかけます。 これは、内部に熱を通すのが目的です。 第二段階は、温度を180度に上げて、短時間で揚げます。 その結果、内部にも熱が通り、表面はこんがりと狐色に揚がります。

かたや、熱の通りやすいものは、初めから180度で短時間に揚げてしまいます。 このように、熱の通りやすいもの、熱の通りにくいものに分けて揚げて行きます。 熱の通りにくいものに関しては、食材の表面と内部の状態を想像しながら、考えながら調理します。 「食材に、いかに熱が入っていくのか。」その試行錯誤の繰り返しの中で、美味しさに至ります。 その時、「美味しいものを食べてもらいたい。」そのお気持ちが一番のモチベーションとなることでしょう。