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ダン先生の子育て論

売れ続けるダン先生の子育て本、WBC

子育てに忙しいみなさま、夏休み大変お疲れ様です!

日本ではそこまで話題になったことがないのに
アメリカでは10年ほど前から売れ続けている、現在もアマゾンで
子供の発達分野でベストセラー1位の"The Whole-Brain Child" 
(「幸せ育児の脳科学」)、略してWBC。

今回はその人気の秘密について書いてみます。

WBCはダニエル・シーゲル氏とティナ・ブライソン氏の共著ですが、特に「ダン先生」(Dr.Dan)は精力的にワークショップや講演を行い、全米の子育て世代にその理論を伝えてきました。

今住んでいるカリフォルニアのデービスという街は農業が盛んな地帯にあり、いわゆる空が広い田舎で人口7万弱ですが、UC Davis(カリフォルニア大学デービス校)を中心とした大学町で、教育熱心な親も多く、子育てや教育専門家の講演も定期的に行われています。

ダン先生も地元の公立高校の講堂で講演していったことがあります。

先日まではこのベストセラー本のKindle版が なんと1ドル99セント! という大バーゲンも展開されていました。

アメリカでも、夏休みで子育てに救いを求める人が増えるのかもしれません。

このSNS時代、そしてコロナ禍もあって、アメリカでもオンラインでの子育て支援プラットフォームが増えていると感じますが、ダン先生もあちこちの無料オンラインセミナーなどで本当によく、見かけます。

でも、こういう説明動画もやっぱり、日本語では見つかりにくかったり、とっつきにくかったりすると思うので、少し紹介してみたいと思います。

こちらの、「この本を読んだきっかけ」でも書きましたが、私はこの本に救われたと思っているので、だれかの役に立つかもしれないという、おせっかいおばさん的な動機でしつこく書いていきます。

脳の働きや構造は複雑

WBCがここまで人気なのには、やはり理由があると思います。
それは、ダン先生の話やプレゼンが非常に分かりやすいこと。

ただし本、特に英語の本だと、分かりやすく、かみ砕いで伝えようとすると 長くなったり、繰り返しが目につくこともあります。

でも、講演や動画が分かりやすければ、改めて本を読むきっかけにもなります。

脳について、専門家でない一般人で、少し興味があるから自分で理解してみよう!と思ったことのある人なら、その構造の複雑さをみて、それこそ脳内が疑問符だらけになったことがあるのではないでしょうか。

脳は多くの部分に分けられていたり、そうかと思うと別の文脈ではその別々の部位をつなげて、ひとまとまりのように考えて 説明されていたりします。

ちなみに私が分かりやすいな!と思った日本語の脳の図解はこちら↓です。

「ヒト脳の構造」(図7)

「脳の断面と機能」(図8)


でも、右脳と左脳の違いについて、聞いたことのある人は多いと思います。

右脳はイメージ思考とか、音楽などクリエイティブな活動や感情、左脳は論理的思考や言語活動を担当しているというような説明はよく聞きます。

また、脳には自分を守るために原始的な反応をする部分と、より人間的な思考をするために必要な部分があるということも聞いたことがあると思います。

ただ、実際に子どもの脳がどのように発達していくのか、親はどのように接すればいいのか、まだまだ研究が進行中の分野で、一般には理解はそれほど進んでいないと思います。

普通の専門家だったら、一般向けにこのような話をしようとすれば、各脳の部位の名前や、まとまりとしての呼び方などを、(右脳・左脳、前頭前野、大脳、扁桃体などなど) 専門用語を使ってなるべく正確に説明すると思います。

ダン先生ももちろん、専門用語もある程度使って説明していくのですが、彼(と共著者のブライソン氏)のすごいところは、この複雑な脳の構造や働きについて、子供にも分かる説明方法を編み出した ということです。

子供も学べる「ハンドモデル」

特に親も自分が感情的になって子供に怒ってしまうときや、子供の感情が爆発しておさまらないとき、脳がどんな状態なのか。

その仕組みを親にもわかりやすく、そして親が子供にも説明できるように「脳のハンドモデル」を考え、親子が自分の、そしてそれぞれの感情と脳の働きについて、とらえやすくなる方法を考え出したのです。

しかも、それは何万円もかかる高額な子育て講座に参加することもなく、分かるようになっています。バーゲンや古本で数百円で入手できる、あるいは地元図書館に必ずある本、「WBC」に全て、分かりやすく書かれているのです。

補足説明の講演会も多くが無料。動画も無料で視聴できるものがいろいろあり、ダン先生の公式サイトでも多くの動画や資料が無料で利用できます。

ダン・シーゲル先生のウェブサイト

「脳のハンドモデル」も、特にパンデミック以降、学校で先生方が生徒たちに学ぶ機会を提供することも増えているようで、親よりも子供たちが知っているという現象も出てきています。

また実は、最近はアメリカの子育てとしてよく紹介されている「ポジティブ・ディシプリン」という子育て論がありますが、その中核となる考え方もWBCで説明されているダン先生の理論がもとになっています。

私も子育て論の専門家ではありませんが、このようにポジティブ・ディシプリンとWBCは強いつながりがありますが、強調している部分が異なるのではないかと思います。

WBCで強調しているのは、Whole-Brain、つまり、脳の構造は複雑で、様々な部分から成り立っているけれど、子供が成長する過程で大事なのは、脳の各部分が神経のネットワーク(神経回路)でつながり、脳全体が発達していくことをサポートすることだ ということではないかと思います。

それで、WBCでは脳を 「右脳と左脳」 や 「1階と2階」に分けて説明し、成長するにつれてそれぞれの部分の神経回路が発達し、つながっていくというのはどういうことか、それを理解した上で子供にどうやって接したらいいのかを説明しています。

長くなってきたので、続きの記事で説明していきます。



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