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となりの芝生は面白い#1 ITというお仕事の捉え方

自分は知ってるしむしろ当たり前だと思ってるようなことが、他の人にとっては新鮮で面白い話だった、ということはよくある。趣味や嗜好、世界が多様化してきた昨今、その傾向はますます高まっていると思う。

ということは、いろんな人の「当たり前」を書けば、それは誰かの「面白い」になるのではないか。そんな意味を込めて、「となりの芝生は面白い」というテーマで、いろんなことの常識や基本的なことを書いていってみたい。

第1回は僕にとっての「当たり前」である「IT系というお仕事の捉え方について」というテーマでやってみようと思う。

ITの仕事は大きく分けて2種類

ITの仕事、と一言で言っても色々な捉え方がある。例えばプログラミングやプロマネ、インフラ、データベース関係の仕事、などのように「やっている仕事内容」で捉えることもできるし、ゲーム開発や企業アプリ開発、企業に入り込んで内製ソフトの受託開発など、「事業の内容」で捉えることもできる。

これらのような捉え方はイメージも湧くだろうし、IT業界の入門書のようなものを読めばもっと詳しく書いてある。なので、こういう分類とは少し違った捉え方について書いてみたい。それは、「その事業におけるITの位置付け」という捉え方だ。こう捉えた場合、ITの仕事は大きく「直接売上に貢献するIT」か「後方支援としてのIT」か、そのどちらか2種類に分類される。

大学生やこれからITの仕事をやろうと思う人は、普通は事業や仕事の内容で捉えて「自分は何がやりたいのか」ということを考えると思う。それは正しいので全く問題はないんですが、この「ITの位置付け」というのも日々の業務においてはなかなか重要な意味を持つので、あえてこれを取り上げて書いてみようと思います。

直接売上に貢献するITとは

これはつまり、その仕事が「売上を稼いでいる、あるいは売上を稼ぐ事業と直結している」という意味です。フリーランスITなんかは、自分の仕事がそのまま売上に直結するのでここに属しますが、フリーで企業に雇われる場合なんかは、雇い主の企業がまたこの分類に分かれています。

わかりやすい例は「SIer」と呼ばれるような、企業に対してITサービスを提供してその対価として企業からお金をもらう、という事業です。この場合は、ITサービスを担う部門が直接売上を上げていると言えます。

あるいはアパレル会社のeコマースなどは、ウェブサイトの立ち上げからAIによる商品レコメンドの仕組みの構築などが必要である。アパレル事業そのものはITではないが、ITの力が売上に大きく貢献しているケースと言えるでしょう。

後方支援としてのITとは

こちらもその言葉通りで、バックオフィスとして事業を支えるITのことである。人事や会計など、会社にとって重要だが売上には直結しないような業務を支えるためにもITは不可欠であり、そのITサービスの提供を担うケースである。

製造業、例えば自動車の会社であればもちろん車を売る販売部門が売上を担っており、製造部門や購買部門など、車を作るために必要な部門があり、それら全ての業務を支える部門としてITがある。こういう部門で働く場合は、後方支援としてのIT業務に従事していると言っていいだろう。

両者の違いとは

僕は前職では「ERPコンサルタント」という業界でも眉唾な職種に就いていて(笑)、数十社の会社に入り込んで仕事をしていたので、様々な会社の実態を見てきました。また、その後自身も製造業に転職してバックオフィスとしてのITに就いているので、両方を観察、体験している。その体験から、双方の違いを説明してみたい。

例えばあなたがセキュリティにスキルや興味があり、企業のセキュリティ構築を生業とする場合でも、上記どちらのパターンもありうる。

前者であれば、セキュリティ構築サービスを他社に売ってお金を稼ぐような「セキュリティサービス会社」で働くことになるだろう。後者であれば、ある製造業のIT部門でセキュリティ担当として働くことになるだろう。実質の仕事内容としては同じようなものだとしても、自身の置かれる立場は全く異なる。

古い企業などでは特にそうだが、「売上を上げている、あるいはモノを作っている部門が1番偉い。それ以外の部門は俺たちが食わせてやっている」という意識の人は意外と多い。なので必然的に、バックオフィスで働く人たちを「自分たちの下請け」のように扱う会社も少なくない。

もちろんこれは間違っている。どの部門の仕事が欠けても事業としては成立しないし、営業や製造部門の方がバックオフィスより偉い、などということはもちろんない。

しかし一方で確かに、このようなバックオフィスで働く場合は、売上に対するノルマがなかったり、顧客に直接対面する機会がとても少ないので、ギリギリに追い詰められて仕事をする、というシーンが少ないのも事実である。そのため、そういうシーンに直面している部門がある種1番大変だと考える人がいてもおかしくはない。

逆に、先の例だと自分がセキュリティサービス会社に勤めていて、セキュリティサービスを顧客に対して打っている場合、やはり顧客からの厳しい要求にさらされ、会社からのノルマもあり、日々大変なプレッシャーの中で働く事になるだろう。しかし、自分が稼いでいる、という自負の心は芽生えてくるだろうし、それが行きすぎて、こういうプレッシャーを抱えていない(ように見える)バックオフィスを軽んじる心が生まれてしまう、のかも知れない。

どちらで働くのが良いのか

このような実態を、理解しやすいように誤解を恐れずステレオタイプに言ってしまえば、

  • 売上を稼いでいるITは、高いプレッシャーに晒されながら働くが、自らが稼いでいるという自尊心が生まれ、社内でも優遇される傾向にある

  • バックオフィスとしてのITは、プレッシャーに追い詰められることは少ないが、社内で軽んじられる傾向にある

と言えるだろう。書いてみてなかなかに酷い表現で誰かに怒られそうだなと驚いたが、正しいか正しくないかではなく、ある面で事実を書いていると思う。こういう捉え方で、このような態度で接してくる人間は実際にいるのだ。

じゃあどちらが良いのかというのは、もちろん人それぞれであり、コレをどう考えるかによるし、どういう姿勢で仕事に取り組むか、による。

前者の会社で働いていても卑屈で下請け根性丸出しの人はいるし、後者の会社で働いていても誇り高く皆に一目置かれている人もいる。最終的には「自分が誇りを持って仕事に取り組めているか」ということが最も重要であり、それを環境のせいにしてはいけないのだ。

ここで書いたのはあくまで「傾向」であり、全てではない。だけど、何も知らずになんらかのITの仕事に就いて驚くよりも、こういう捉え方もあるよ、という目を持って企業に入るのとではまた自身の心の持ちようも変わってくるだろう、と思って書いた次第です。

ここまで書いてきて、本当にこれが「となりの芝生は面白い」に繋がるのか全然手応えがありませんが(笑)へー知らなかった、とか、いやいや全然わかんねぇよ、というような気持ちになってくれたら、いいね なり コメント なり頂ければ嬉しいです~!

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