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非対称ピアス(仮)

ここから、去年11月頃の下書き


 数週間前にピアスを開けた、自分で。
 小学校の図工で糸鋸を使った作品がガッタガタだった前科があるので、髪色と違って残るピアスホールを自分で開けるのはさすがに抵抗があった。なので美容整形外科で開けようと電話したら「1ヶ月待ちです」と言われてしまい、ヤケクソでドン・キホーテに寄ってピアッサーを2つ買った。
 帰宅後、親に見つかる前に急いで開けた。手が震えそうになりながら、薄いアイライナーで描いた印を頼りにピアッサーを耳に当てる。長座体前屈と共に体力テストの得意種目である握力を信じて一思いにピアッサーを握りしめた。
 正直それ自体は全然痛くなくて、それよりも取れないピアッサーと戦う時間が一番痛かった。キャッチに届かないと外れない、と書いてたはずなのにキャッチがついていない状態で外れてしまいマジで焦った。

 ファーストピアスはイヤリングと違って四六時中着け続けることになるのだが、それがどこか誇らしかった。次の日とかルンルンでめっちゃ触っちゃった。学校に行ったら友達に全く気づかれなかったので少し寂しかった。
 私はえらい福耳なので、相対的に下の方に開けたつもりでも絶対値としてはかなり高い位置に開いていた。なので径の小さいフープピアスなんかは着けられないということに気付いた。

 開けたときは気にしてなかったけど、やっぱ左耳のほうがかなり高い位置にある気がする。見れば見るほど気になってしまって、インフル初日についに耐えられなくなり、高熱の中固いキャッチと闘った。インフルが治ったあとたまたま授業が午前だけだったので、これまたドン・キホーテに向かい同じピアッサーを購入した。
 今度は失敗しないように、何度も何度も確認して開けた。今度こそ左右対称だ。

 右耳を開けてから4週間ほど経った日に右耳のピアスを外した。
 ハート型のフープピアスを、そおっと、差し込む。


ここから、いまのはなし

 気がつけば、5つ目のピアス。
 左耳に2つ目のピアス。
 うん、また可愛くなっていく、私。

 意図せず軟骨に開けてしまったようで少し痛いが、可愛いが勝っているため全く気にならない。
 いずれもっとバチバチに開けて、かっこいいお姉さんになりたい。
 髪色はハイトーンで、ウルフカットで、ダボッとした黒い服を着ている細身のお姉さん。二人称は「少年」。なんてね。

 髪色もピアスもヒールも全部、ある種の威嚇行為なのかな。
 孤高の存在に、なりたい、なってみたい。
 強くてかっこいい人になってみたい。


ここから、あとがき

 全然文章が違う。
 以前のほうが好きな文書だ、またこのように書けるようになりたい。
 余計な情報が多いことは変わらないが、その情報が(今よりかはまだ)面白い。

 当時と現在の違いは二つ、書く時間とかける時間だろう。
 日の上がっている時間に書き何度も何度も読み返しているのだから、夜中になぐり書きした文章と大きく違うのは至極当然であろう。
 しかし、ものを書きたくなるのは決まって深夜、もはや早朝とも呼べる薄暗い時間である。
 はあ、困ったもんだ。

 上の文章を書いたとき、ピアスなんて左右のロブに一箇所ずつ開ければ満足だと思っていたが、今は心にできたささくれと同じ数だけ開けようとしている。
 よくないね。
 たぶんまだ増えるよ。

 可愛いねって、最高だねって、たくさん言われたい。なぜなら私は可愛くて最高だから。
 人生自惚れてなんぼ。


 これからも何度か、鮮度を失った下書きを投げるかもしれない。
 よろしくお願いします。

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