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別れが続くのは当分いやだけれど・・・・・(後編)インコとの生活あれこれ その13

<前編のあらすじ>

先月の4日に、我が家のモモイロインコのモモが急逝した。我が家に来て、1年10か月になるところだった。もともと問題があって、お店でセールになっていた子。迷ってお見合いをしてみて、それほど問題があるようには見えず、ともかく、帰宅して、相方に報告することに・・・。


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私が、モモとお見合いをして、一週間後に相方がモモに会いにゆきました。

彼女の場合、仕事が泊り明けの時に、出かけることが多いです。我が家からだといささか時間がかかるお店が多いからですが、家に戻ると、相方はあまり外出したがりません。まぁ、私にしても、コンサートのようなどうしても! の要件でなければ、そうフラフラ外に出るタイプでもありませんけれども。

その結果、彼女もモモを気にいって、お迎えすることになりました。ただ、お店がモモが入っているかごごと譲ってくれることになったので、車のない私たちは、ペットタクシーを使うことになりました(後日わかったことですが、そのお店では、大きなインコを扱うことをやめたのです。モモのほかにも大きなインコが、セールになっていましたが、これは言ってみれば、”在庫処分”だったようですね)。

相方が、お店に行き、そこにタクシーが迎えに来てくれて、我が家まで送ってくれました(あ、もちろん、有料ですよ)。

モモが我が家に到着した時、どうだったかよく覚えていません。7月下旬の夕方で、蒸し暑かったような気がします。たいていの子がそうだったように、我が家のたくさんの先輩たちに驚きつつ、なんだかワクワクしている素振りを見せていたように記憶していますが、やはりあやふやです。

モモは、相方が大好きな子になりました。仕事のシフトがいろいろで、いないことも多いママを、待ちわびる様子がいじらしかった。相方の足音が聞こえると、誰よりも早く喜びの声を上げるのが、モモでした。

そのモモが、一時は収まっていた毛引きを再開したのが、結局は彼女の寿命を縮めた遠因です。我が家の環境になじんでくるにしたがって、モモは、自分があまりかまってもらえないことに、苛立ち始めたようでした。私たちなりにもちろん彼女に気を配りはしたのですが、何しろ、我が家には女王様のピポナ先輩がいる。

私よりも相方が好きなはずのモモでしたが、相方は、ピポナを文句なく溺愛しているのです。それを本能で察知した彼女は、自分が一番ではないことを嘆き悲しむようになったのでしょう。

お店によっては、鳥さんの大きさに関係なく、上手に社会性を身につけさせるように世話をしているところもあります。もちろん、力関係からの安全性には極力注意したうえでのことですが、そうなっていれば、モモが我が家で苦しむことも少なかったかもしれません。

けれど、彼女のいたお店では、彼女は社会性を身に着ける余地はありませんでした。神棚にあげられるように高い棚に置かれて、どうやってコミュニケーション力をつけろというのでしょうか。

それでも、我が家の場合、世話好きのシロハラインコがいて、彼がしばらくはモモの相手をしてくれていました。ホーリーと名付けている彼は、なかなか優しい子で、新入りの面倒を引き受けてくれたりしたのですね。そのおかげで、モモは我が家になじめたのでしたが、或る時から、ホーリーは、自分とモモとの大きさの違いを認識して、モモを避けるようになりました。きっかけはわかりません。モモが、ホーリーを噛んだということはなかったですし、事故も起きていませんでした。

モモイロインコは、体重が330グラム前後が平均だそうです。一方シロハラインコは、160グラム前後が平均らしいのです。大型インコと中型インコの違いなのでしたが、この違いを何時何故、ホーリーが認識して、モモを避けるようになったのかは、全然わかりません。モモは、ホーリーを慕って、「お兄ちゃん、遊んで~♬」と、甘えていたものですが、やがて、その声を聴くと、悲鳴を上げて逃げるようになったのでした。

相方は、極力モモをかまうようにしていましたが、モモの要求が強くなるにしたがって、持て余すことも出てきました。相方には、相手の気持ちが理解できないことがあると、怒りだしたり避ける傾向があるのですが、これをモモに対して発動したのですから、モモも困ったでしょう。

本当は、モモが納得するまで付き合ってあげれば、落ち着いたのだと思います。けれど、それができるはずの相方には、その根気がありませんでした。私ではモモが納得しません。フォローしたくても、モモが受け付けてくれなかったので、どうにもなりませんでした。

モモは、身体が弱ってくる直前まで、私の手には乗りませんでした。私が彼女をなでることは大好きでも、自分を外に出す手はママの手だと固く決めていたようです。頭のいい子でしたから、私の言うことはかなり理解してくれたようですが、それでも、決して譲れない一線があったわけですね。

モモの毛引きが自咬症に移行して、出血し始めました。自分で噛んでいるのですから、痛くないはずがなく、いくらか暴れることも出てきました。基本的には甘えん坊で、おとなしいのですが、相方が自分をかまってくれないと、やはり、荒れます。相方には相方なりの考え方ややり方もあるわけで、それがモモには気にいらないことも相当あったのでしょう。私が相方にそういっても、相方が受け付けてくれないことも少なくなかったので、途方に暮れることも多かったです。私に乗り換えてくれれば、まだ何とかなったのかもしれませんが、一途な彼らにそんな器用な真似ができるはずがありません。それができるなら、毛引きも自咬症もないのですから。

頑固にドクターに診せることを拒んでいた相方が、診療を検討し始めた矢先、モモは、それを拒むように逝ってしまいました。逝く数日前には、私の手にも乗り、まるでお礼を言うかのように甘えることが多かったモモ。息を引き取った後の顔は、まるで毒が抜けたようで、安らかできれいな表情をしていました。

ただ、この半月ほど私が落ち込んで、泣くばかりだった、というのは、モモのことだけではなかった。今、1羽介護しているコミドリコンゴウインコがいます。モモと同じもうすぐ4歳になる、若い男の子ですが、一時期危篤状態が続き、私は生きた心地がしなかったのでした。

今は、或る程度腹が据わって、泣くこともありませんが、少し前まで連日泣かない日はない、という有様。モモと逆に、私が一番で、ピポナのライバル。頭もよければ、性格もよくて、相方もかわいがっている子です。ロプロスと言います。

思えば、昨年末に1羽、我が家で育てた愛鳥がなくなってから、モモまで5羽、天国に帰っています。いくら30羽を超えるインコと暮らしていたって、毎月のように天国に帰られたら、たまったもんじゃありません。

モモが逝った時、ふぅうっと思いました。

「こんなにつらい思いばかりするくらいだったら、もう、この子たちと暮らすなんて・・・・・・」

”ペットは死んじゃうから、飼いたくない”。そんな言葉を、時々聴きます。その気持ちはよくわかるけれど、それでも彼らと暮らさずにはいられない私などは、「そんな弱い気持ちじゃ、暮らせないよぉ!」などと憎まれ口をたたきたくなります。

けれども、そんな私でも、さすがにこうも続くと、参ってしまいました。しかも、もう1羽、天国に帰ろうとしているのがいる・・・・・・。

それぞれの天寿が来たのが続いたのだと、頭でわかっていても、感情は納得しません。大切にしてきた、かわいがってきた子たちです。一緒にいるのが当然のことのはずだったのに、その当然が突然断ち切られる。1羽いなくなって、その不在を受け容れるのに、時間がかかるようになっているのに、こんなに続いて、まだ生きている自分が不思議なくらいです。

それでも・・・・・・。先月、我が家には新入りのハナが来ました。あの時、ハナと随分長い時間かけて、お見合いをしました。モモが逝った翌日で、ショックが消えているはずもありません。ハナが、私に甘えることをためらったのは、私の中にあったモモの不在を嘆く気持ちが大きくて、怖かったのかもしれません。彼らは、こちらの感情を敏感に見抜きます。”この人のおうちに、アタシが行って、いいのかなぁ?”そんな迷いもあったのかもしれません。

モモが逝って、ちょうど1か月。ハナが我が家に来て、もうすぐ1か月になります。ハナは、相方大好きっこで、少しずつ、相方に抱っこされたりするようになりました。私の手は、相変わらず苦手のようですが、相方がいないときは甘えてきます。

天国に帰った子たちが私の心に開けた穴は、決して埋まることはありません。けれども、穴は埋まらなくても、別の命が私の心を支えてくれています。ピポナの”かあさん、泣かないで! わたしがいるでしょう!?”という叫びは、その好例です。

どんなに彼らとの別れがつらくても、彼らがいない生活のほうがさらにつらいことも、私は知っています。まぁ、こんなに続くのは、もちろん、願い下げですけれども、ね・・・・・・。

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