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TikTok禁止をユーザーは歓迎?271人の意見から見る彼らの本心とTikTokの課題

大人気の動画共有アプリTikTokに、にわかに暗雲が立ち込めている。
安全保障を理由にインドでは既に利用禁止。アメリカやオーストラリアでも禁止を検討。それに歩調を合わせるように、日本でも禁止の検討が本格化している。

では、当のTikTokユーザーたちはこの状況をどう捉えているのか?
そこで、TikTokが認定する厳選クリエイターでもある筆者が、実際にTikTok内でアンケート動画を投稿。271人のユーザーから自由に回答してもらった。
その結果は意外なほどにドライで生々しく、今のTikTokの課題を浮き彫りにするものだった。


0.サマリ

・日本でもTikTok禁止の本格的な検討が始まっている

・TikTokの動画でそのことについて意見を集めたところ、「悲しい」という意見はわずか27%で、「別にいい」という意見が53%と多数。逆に「嬉しい」という意見も20%あった

・その回答を細かく見ていくと、ユーザー自身がTikTokを「必要なもの」とは捉えていないことがわかった

・TikTokが今後も日本で展開を進めるのであれば、「つい使ってしまうアプリ」から「必要とされるアプリ」へのステップアップが必要となるであろう


1.TikTokが置かれている状況

TikTokは、世界で20億ダウンロードを記録した中国発のショートムービープラットフォームである。

これまでの動画アプリやSNSとの大きな違いは、検索をもとにコンテンツを表示するのではなく、アプリ内での過去の行動履歴を元にAIがその人にとって最適な動画をおすすめし続ける仕組みにある。目的を持って利用するわけではないため、逆に完結することなく動画を見続けてしまい中毒性が非常に高い。また、ユーザーの大半が10代を中心とする若者である点も特徴的である。

そんなTikTokに暗雲が立ち込めている。

安全保障の観点から、インドでは既に利用禁止。アメリカやオーストラリアでも禁止を検討。そしてついに、日本でも規制に向けた本格検討が始まった。



2.調査方法

では、実際にTikTokユーザーは「TikTok禁止」をどう考えているのか?TikTokに投降した動画でアンケートを行った。

調査方法は以下の通り。

調査方法


3.結果

TikTokがなくなることについての178名の回答を、「嬉しい」「悲しい」「別にいい(他のSNSに移る等)」の3つに分類した。

すると意外にも、「悲しい」というコメントをした人はわずか27%

「別にいい」というコメントをした人が53%と約半数。

逆に「嬉しい」というコメントをした人は、なんと20%もいた。

TikTokなくなったら

それぞれの主な理由は以下の通り。

意見

「嬉しい」という意見の背景には、TikTokの持つ「時間泥棒」や「無法地帯」という負の側面が、

「別にいい」という意見の背景には、TikTokの持つ「あくまで一つの娯楽のチャネル」という代替可能な側面が、

「悲しい」という意見の背景には、TikTokの持つ「繋がりの場」という正の側面が見て取れる。

※記事の最後に、アンケートの全回答を掲載しています


4.見えてくること

今後、TikTokが日本でサービスを継続できるかは現時点で定かではない。しかし、もしサービスを継続できることになったとしても、今回のような検討は断続的に続くであろう。

では、今後同じような騒動が起きた際に、TikTokがユーザーから「必要とされる」存在になるためには何が必要なのか。

アンケートから読み取れるキーワードの1つ目は「つながり」である。

TikTokはインフルエンサーと出会えるアプリと言われているが、アンケートでは出会ったインフルエンサーとの別れを惜しむ声は非常に少ない。1日わずか15秒間、口パクしている動画を見るだけの関係では、強いエンゲージメントは築かれなかった。インフルエンサーとのエンゲージをより強くするためには、ライブ配信機能EC機能の導入により、生活により深くインフルエンサーが関与する仕組みが必要となるであろう。

アンケートから読み取れるもう1つのキーワードは「積み上げ」である。

アプリ内で多くのフォロワーを抱えていたり、ゲームのレベルを頑張って上げてきた人にとって、そのアプリの消滅は大きな損失になる。しかし、今のTikTokに一般のユーザーが積み上げているものは少ない。一般のユーザーが主体的に参加し何かを積み上げていく形を作るためには、アプリ内ゲームの実装や、それに連動したポイント制度の導入、ポイント制度を利用した動画投稿インセンティブ制度の導入など、アプリ内での活動が資産として蓄積されるため制度設計が必要となるであろう。

これらの多くは、中国版TikTok「抖音」にはすでに実装されている機能である。日本版TikTokへの実装はこれまで、様々な理由から見送られていたと推測される。しかし今回の禁止騒動を機に、アプリの「必要性」を高めたいTikTokがこれらの機能実装に向けて舵を切る可能性は高いだろう。


5.詳細資料(アンケート全回答)

アンケート動画にコメントされた271人すべての自由回答はこちら。

①TikTok無くなったら:嬉しい

1うれしい

②TikTok無くなったら:別にいい

2別にいい

③TikTok無くなったら:悲しい

3悲しい

④TikTok無くなったら:その他

4その他


※最後に一言

今回の話に興味を持っていただいた方は、ぜひ投稿主のTwitterとTikTokもフォローして頂けるとありがたいです。

Twitter : https://twitter.com/funnydata_info

TikTok : https://www.tiktok.com/@funnydata.information?lang=ja



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