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やったーに、ぬーがわかいみやぁ

「この映画に字幕をつけるつもりはありません」

監督はきっぱりそう言った。

映画「遠いところ」を観た。
沖縄の現実をテーマにした作品。

作中には、しまくとぅばが頻繁にでてくる。
監督への質疑応答で、意味が伝わるかを心配した観客に対する回答だ。

「彼女らを知らない者は、知ろうとする必要がある」

沖縄県民のおれが聞いてても
聞き取りづらいセリフが山ほどあった。

方言というより、地元若者コミュニティ特有の
みなまで言わんでも伝わる、文脈を前提とした断片的なワードチョイス。
はっきりとした発音をめんどくさがる、ぼそぼそ口調。

それでもいつメンには伝わる。

そんな彼女たちの姿勢をそのまま表現しようとする
監督の意志だと思う。

そして実際、多少言葉がわからなくとも
伝わるもんだ。
知ろうとする気持ちがあれば。

字幕をつけてしまうと、
その姿勢のクラデーションに関わらず
理解度が画一化されてしまう。

そんな暴力的なわかりやすさを避けたのだろう。

そして彼女たちの生きかたを
できるだけ脚色なく描写しようという試みは、

彼女たち自身の人生を、そのままで価値があるものとして扱うメッセージだとも思う。

とてもいい映画でした。
もう一度みたい。


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