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お笑いと性欲の桶狭間 ①


20代の前半、憧れている男性がいた。

歳は2つ上、イケメンで元某グループの山口君みたいなサーファー風味、チャラチャラはしていたけどわたしにお金を出させたことは無いし、気前がよくサッパリとした性格。

定期的に食事をご馳走してくれる間柄が2年くらい続いた。

もちろんそれ以外なにもない。

その間お互いの友人を誘って言わゆる合コンを開催してみたり、個人的にデートに誘ってみたりもした。

いつも「琥珀は可愛いね」とは言ってくれるものの、好かれている自信は皆無。

長らく食事だけの関係だったので、雪の夜に遊園地でスケートをするだなんて、とてもドキドキしたことを覚えている。

彼に近づけたのか、どう思われているのか、そんなことを考えていた時、また彼と食事をすることになった。

「いつ告白しよう……」

約束の日はやってきた。

当時ギャルギャルしかったわたしは持てる力を出し尽くし、彼の好みに近づけるべく全力でオシャレして、万全の体制で彼と会うことになった。

いつものように楽しく食事をして、食べ終わったあと。

彼は腕時計をチラチラ気にしだした。

「今日エン〇の神様スペシャルだよね?

俺ん家○○町だから、ここから車で帰ったら今からだと間に合わないな。」

わたしの地元はまぁまぁ田舎だ。車社会なのでたいてい皆車移動。

その日もご多分にもれず、お互いに車で集合していた。

当時カーナビのテレビがすでに普及していたかは記憶にないが、彼はテレビで某お笑い番組を見たかったらしく、やたらと間に合わないことをアピールしてきた。




つづく。


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