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Don't cry アフロ ③

しばらく友人関係が続いたアフロ君とわたし。
わたしがプライベートな恋愛の悩みを打ち明けても真剣に相談に乗ってくれたし、いつも絶対的な味方でいてくれた。
何もしても「かわいい」としか言わない。
まるでわたしを護ってくれる騎士のようだった。

しつこくされたけでもないけど、絶対に絶やすことなく好意を伝えてくれる。あまりにも好きだと言ってくれるので、ある時ついにわたしは根負けした。アフロ君と付き合うことにしたのだ。

自分から好きになった人としか今までは付き合ったことのないわたし。
相手から好かれた場合、わたしはその人を好きになれるのだろうか。言うなれば、これはわたし自身を試す実験でもあった。なんせ前例がないのだから。

最近知ったのだが、どうやらわたしはアダルトチルドレンらしい。
機能不全家庭で育ったためふだんから精神的に生きづらさを感じている訳だが、アダルトチルドレンの特徴として、

相手からの好意に恐怖を覚える

と言う事例があるらしい。

どういうことかと言うと


自分が嫌い(自己肯定感が低い人が多い)

嫌いな自分を好きだと言う相手

趣味が悪い、と嫌悪感を抱く


こんな具合らしい。まさにこれが起きないか心配だ……。

一生幸せになれない気がしてきた……。


まぁまぁ。気を取り直していきましょう。


アフロ君と付き合ったとは言え、250キロも距離がある。すぐに会うことはできず、まずはちょこちょこ電話することから始めた。

数週間経ったある日。アフロ君が興奮気味に電話してきた。


「〇日に東京で試合があるんだけど、琥珀その日空いてる?試合の帰り、同じ新幹線に乗って俺の住む街を見に来てよ。会いたいし!」


交通費も出してくれるという。優しいなぁ。

無職になったばかりで時間は無限にあったし、仲良くなるチャンスだ。友達としてもアフロ君としばらく会ってなかったし、付き合ってから初めて会うこととなる。

今までわたしの一番のファンと公言してずっと関係良しでいたので、それが今は彼氏という形になっているなんて、なんだか不思議だ。


「いいよ!会うの久しぶりだね。」

「まじで!?やったー!!!!!俺、絶対試合に負ける気がしねぇ!」


アフロ君はとても喜んでくれて、ついに会う当日となった。

わたしはお泊まりグッズと着替えを詰め込んだバッグを持って、アフロ君が指定した駅から新幹線に乗り込んだ。いざ会うとなるとちょっと緊張する。

えーと、こっちの車両だな。席を確認しながら進んでいくと……。


「姫!!」


よく通る声がわたしに向かって飛んできた。アラレちゃんのんちゃ砲みたい、声だけでぶっ飛ばされそうだ。


「あ、久しぶり!」


アフロ君はチームのメンバーとご機嫌でわたしを迎え入れた。

「先輩、この子なんすよ!俺が何年も好きだった子!やっと付き合えたんすよ!」

わたしの肩を大きな手がバンバン叩いた。いてえ笑。こりゃ相当気合い入ってんな……。


「おー、可愛い彼女が出来て良かったな!」

試合に勝って、メンバーも上機嫌のようだった。

新幹線の車内でわたしはチームメンバーから質問攻めに会い、いかにアフロ君が浮かれていたかを周りから聞かされながら、新幹線は進んでいく。


つづく。






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