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紅茶は世界をめぐる

子供の頃、母には「子供は『コ』のつく飲み物を飲んじゃいけない」とよく言われました。当てはまるのはコーヒー、コーラ、そして紅茶。コーヒーは苦いし、コーラは炭酸とあの薬っぽい味が親たちに嫌われていました。
でも紅茶は家に日東のティーバッグがあったので、母のいない日中に祖母がよくいれてくれました。子供なのでストレートではなく必ず加糖で、輪切りのレモンを添えてくれました。
このことからしばらく、紅茶といえばレモンティー派なのですが、後に紅茶の本場であるイギリスではミルクティーが主であり、レモンティーは少数派であると聞いた時には、ガッカリしたものでした。
もちろんミルクティーも飲めることは飲めるのですが、口当たりの良さとさっぱりさから、私はやはりレモンティーの方が好みなのでした。

大学の卒業旅行ではロンドンへ行きました。もちろん本場のアフタヌーンティーを…とも目論んだのですが、あまり金もなかったのでそこはスルー。でもカフェ等に入った時には必ず紅茶をオーダーしました。
そこで出会った第2のガッカリ。英国は紅茶の本場なのだから、ポットでサーブされるお茶は必ず絶対リーフティーだ、と固く信じていたのですが、大英博物館のカフェをはじめ、どこに行ってもポットティーの中にはティーバッグが放り込まれていて、幼いころからの憧れはいったい何だったのだ…と心でため息をつきました。それにもかかわらずハロッズに行っては大量のリーフティーを買っていたので、どこかでその憧れにまた出会えるかもしれないと当時は思っていたものでした。
(なお、この時も頑なにレモンティーを注文していましたが、ちゃんと出てきました。ロンドンでもミルクティーばかりではないと証明されてホッとしましたよ)

中国茶を好むようになったのは、成人して台湾や香港へ行く機会が増えてからのこと。それでも、中国茶にも紅茶があるとは思いもよりませんでした。t当時は紅茶をストレートで飲む習慣がなかったので、中国茶店で紅茶を見かけても購入することはありませんでした。

銅鑼湾の時代置場のマカオ風カフェでいただいた熱檸檬茶と葡撻


香港の茶餐廳には紅茶が定番で置いてありました。しかもかなり個性派。
ミルクティーは濃厚なエバミルクを使用。老舗のお店では茶漉しとしてストッキングを使ったりして、淹れ方のこだわりも面白かったです。そしてレモンティーはたくさんのレモンスライスをアイスならマドラー、ホットならスプーンで潰しながら飲むスタイル!蒸し蒸しして暑い夏の香港を歩きつくした後にレモンスライスを潰して飲むアイスレモンティーはたまらなく美味でした。なお、甘味はデフォルトです。

台湾の紅茶のおいしさは、弟から教えてもらいました。
近年、台湾へは早春に行くことが多く、その時の旬のお茶を彼に所望するとだいたい紹介してくれるのが日月潭紅茶でした。淹れてみると水色は青茶より濃い茶、でも英国紅茶よりは薄め。そして飲んでみると、苦みのないあっさりした味わい。緑茶や青茶、プーアール茶と同様、すっきり飲めるもので、とても気に入りました。紅玉紅茶(と言ってもアップルティーに非ず)も美味でした。

そして日本のお茶葉にも紅茶の波が…。
奈良の健一自然農園みとちゃ農園、東北では石巻の桃生茶などを飲みましたが、他にももっとあるかな。和紅茶のペットボトルも出てきたのは嬉しいです。

これが和紅茶。みとちゃ農園産。

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