見出し画像

【仕事】三蔵、結婚詐欺の巻

こんにちは、イラストレーターのfuneno(フネノ)です。

株式会社愛言社様の語学雑誌『聴く中国語』連載中・『西遊記』の挿絵(9月号)を担当いたしました。

今回のテーマは「女人国の冒険」

女子しかいない国に迷い込んだ三蔵一行のアドベンチャーの巻。

女人国には川があって、その水を飲むと男でも妊娠するという、一種のオメガバース的仕様。

うっかり水を飲んでしまった三蔵と八戒はおなかが膨らんでしまうので、まずその件を何とかするのに一苦労。

そのあと、女人国の城市に入ります。

すると、珍しい「男」が来た! ということで、女人国の人々は大騒ぎ。女王に至っては、三蔵が入国したその日に、結婚を申し込んでくる。

三蔵は唐を出るときに、皇帝と兄弟の契りを交わしているので、名目上、皇弟ってことになってるんですね。

わざわざ我が国に、あの大唐から、皇弟様がおいでなすった、ってことで、女王はこれは結婚しといたほうがいいんじゃないのという気分になってくる。そういう高度な政治的判断なのであって、三蔵の顔の良さは決め手の一つにすぎないと思われる。

そんな祝賀ムードを描いた絵がこちら↓

『聴く中国語2024-9』号

袞衣と冕冠は皇帝の普段着じゃないけど、偉さをわかりやすく表すのにちょうどいい服なので女王に着せました。

女人国だから、冕冠だって袞衣だって、男子のものとは違うだろうな、それに架空の国だし、と思ったので、ちょっと強めにアレンジしました。

冕冠は12旒だと皇帝、という話もあるので、女王は皇帝じゃないので8旒くらいにしておいたのですが、唐代の王の旒って何本なのか、詳しい方は教えていただけると幸いです。

そもそも女人国は唐に朝貢している設定なのだろうか? してないなら旒の数だって自由でいいはずだよな……というより、唐からだいぶ離れてきたけど、ここは中華圏と同じ形の冠を使っているのだろうか?

などと考えているとだんだん混乱してきたので、アレンジ強めでお送りしました。

それで、なぜ僧侶である三蔵が女王との結婚を承諾したか、なのですが、これは通行許可証をもらうための嘘ですね。

悟空が、女王をだまして許可証だけもらおう、と提案した。そうしないと通してくれないだろうし、通してくれないと、死人が出る方法で切り抜けないといけなくなるから、という判断。

そういうわけで、ごちそうだけ食べてまんまと通行許可証を得た三蔵一行は、え、話違うじゃん、という様子の女王とその臣下・国民をしり目に、悠々と出国する。

なんてことが、許されるわけがないじゃないですか。結婚詐欺ですもんね。罰が当たったのか、三蔵は一陣の風と共に攫われてしまう。

三蔵をさらったのは美人の女怪で、女王とはまた違った大胆さで三蔵の心を奪おうとする。この妖怪は三蔵を食べるためにさらったわけではない点が珍しいです。

なお、この妖怪は強くて、三蔵を取り戻しに来た八戒も、悟空も、チクリと何かに刺されて、そこがとても痛くなって、戦いを続けられない

そこで天界に助けを求めると、昴日星官というスタッフが派遣されてくる。

昴日星官は、オスの鶏に姿を変えると、鳴き声を上げた。その鳴き声が特殊な威力があって、女怪は正体を現す。それが女サソリ。

このサソリも、もとは天上界にいたんですよね。お釈迦様の手を刺したので地上に落とされた。西遊記、もともと天界にいた人が下りてきて問題起こす率が高い。八戒も悟浄もそうですもんね……

そんな西遊記が連載中の『聴く中国語』2024年9月号はこちら↓

今月は、中国では現在、タピオカミルクティー以外も流行っているらしいよ、っていう特集。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?