超えてくる
『舞台』
市民会館に白雪姫の舞台を観に行く。客席は日焼けした子供連れで一杯。
開演待ち時間は客席の所々で親御さんガクッと気絶してて、ポンと肩を叩くような気持ちで『わかる。お前さん頑張ってる。』と心で語りかける。
私達は午前中に海で泳いでシャワー浴びてそのまま来たから、チビコが寝ちゃうかもしれないと思ったけど全くの杞憂だった。
チビッコ達の没入エナジーが凄すぎて、舞台に本物のおとぎの魂が宿って行くようだった。白雪姫さんなんてラストシーン、涙をダーダーと流しながら、しゃくりあげて必死にセリフ言ってたもん。(頑張れ〜っ!)みたいな。おかしくない?オタと地下アイドルとかこういう感じなのだろうか。
斜め後ろの席のちっちゃいリボンつけた女の子(推定4歳初旬)に至っては、前田敦子絶世期の崩れ泣き位、会場の全員に心配かけていた。魔女が毒リンゴを持ってきたあたりから、ちっちゃいリボンの子の嗚咽がすごすぎてチビコもチラチラ振り返っちゃってるし、夫くん超ニヤニヤしてるし、リボンの子は泣き過ぎてオエ〜ッ!とかなっちゃってるし。舞台の小人すらもチラチラ心配そうに見ていた。
『海』
ジイジとチビコと私の3人で海に行ったら、波がそこそこ強かった。
こういうときは波打ち際が一番厄介だというのにチビコときたら波間に入って行くのを怖がって波打ち際にいたがる。ぶつかり稽古じゃないんだから〜。
流木を拾い終えたジイジが、足ヒレとゴーグルとシュノーケルをつけてやって来て
「引っぱってあげるからいくぞー」
って言ってチビコの浮き輪の紐をグイ〜ッ!って持って海に入って行った。
えええええっ?!って思いながら波を被り被り、チビコは怖いとも言えない内に足のつかない位置までワープ。
「ママ〜ッ!ママ〜ッ!」
って私にしがみつくので精一杯。ジイジ流石だ。。紐を引いてもらいほんの4秒くらいで、コツコツ更新してきた我々の最高遊泳距離を超えた。速さとかも凄いんだけど、水の中での存在感が半端ない。
先日やっと初めて1個浮きに触れたチビコが、瞬く間に浮きを4個も触った。さらに先に行こうとしてたから
「もう一人じゃ帰れないっ!」
ってアップアップ、思わずタメ口で叫んだら
「大丈夫〜。引っ張って行ってあげるから〜」
ってめっちゃ笑っていた。チビコは
「はい戻ろう!はい!戻ろう!」
と言い続けていた。
海から上がったら、ジイジのおせんべいと塩キャラメルを私が無断でバクバクッ!と食べた。『あっ』と気づいた自分に超ビックリしながら謝ったら『どうぞどうぞ!たべて!』って大笑いされた。理性〜っ!
あの時、身体から火事場のバカ力的な元気が湧き上がって来てて、その感覚はまだ、へそくりのようにこっそり私に残っているのです。