見出し画像

【イベントレポート】クラウドファンディング業界を理解するための会計×マーケティング分析ポイント

会計クイズとマーケティングトレースとのコラボ勉強会に、FUNDINNOのCMO(最高マーケティング責任者)向井が登壇しました。

クラウドファンディング業界、さらに株式投資型クラウドファンディングを会計とマーケティング両視点で読み解くヒントが盛り沢山のイベントでした!イベント内容を紹介させていただきます!

当日は、たくさんの参加者の皆さんがTwitterでも実況中継していただきました!

当日の熱量も含めてお伝えしていきます! 

最初に:クラウドファンディングの種類

今回はクラウドファンディング業界を徹底分析ということで、まずはクラウドファンディングはどんな種類があるのかを整理します。

1「購入型クラウドファンディング」
運営会社例:Makuake/CAMPFIRE/Readyfor
購入することで応援の気持ちを示す新しい消費の形。
2「寄付型クラウドファンディング」
運営会社例:GoodMorning
「リターン」が活動の報告やお礼のメッセージとなる寄付型。
3「融資型クラウドファンディング」
運営会社例:OwnersBook/CANPFIRE Owners
融資を受けたい会社と融資をしたい複数の個人をマッチングする金融型。
4「株式投資型クラウドファンディング」
運営会社例:FUNDINNO
非上場株式に対して出資を募る方式。(金融型)
いわゆるベンチャー企業に投資して、企業は株式を発行するといった起業応援のようなもの。

本勉強会では、1「購入型クラウドファンディング」、4「株式投資型クラウドファンディング」を中心に読み解いています。

会計パート:Makuake決算資料から戦略を読み解く

Makuakeの決算資料(2020年9月決算資料)からクラウドファンディング業界の特徴を理解していくパートのご紹介です。

大手町のランダムウォーカーさんより、クラウドファンディング運営会社「Makuake」の決算説明資料の解説がありました。

会計視点で業界分析をする方法も含めてお伝えしていきます。

※参考:以前に大手町さんにインタビューした際に伝授して頂いた「企業分析7つのポイント解説」はこちらです!

画像6

分析ポイント①収益性の高さ・成長率を理解

まずは成長性を分析するために「売上推移」を分析をしていきます。

Makuakeの決算説明資料から直近3年の売上高と営業利益率の推移をみると、クラウドファンディング業界の収益性の高さを理解できます。

画像2

画像4

Makuake売上高と営業利益率の推移
・売上高2018年は10億円だったのが、直近2020年度は32億円と3倍に
・営業利益率の推移は一度9%に落ち込んだものの、16%に回復

分析ポイント②KPIを分解して主要指標を理解する

Makuakeが開示している「KPI」を整理します。
主要指標をツリー上に分解して理解することで、事業成長のキードライバーを理解できます。

画像3


最重要指標である「流通総額(GMV)」を最大化するためには、①実行者掲載数②サポーター決済数の両軸でみていきます。

分析の流れは下記3つを意識しておけるとよさそうです。

財務指標の理解を深める方法
1.指標の分解
2.事実データ確認
3.仮説立案

①実行者掲載数
1.指標の分解
「新規」×「リピート率」
2.事実データ確認
掲載数1,600件、売り手のリピート率26.6%

②サポーター決済数

1.指標の分解
「アクセス数」×「会員数」×「リピート率」
2.事実データ確認
サポーター決済数は前年比比較で約3倍
※「アクセス数」「会員数」「リピート数」すべての指標を高めている

さらに深掘りすると、Makuakeはリピート率を指標として開示しており、リピート購入率は70%の高さとなっています。

画像3

Makuakeの購入者は70%がリピーターであり、新規に頼らなくても動いていける構造になっていることがわかります。

最後に大手町さんの見解が紹介されました。

画像6

大手町さんコメント
順調に見えるMakuakeの決算ではあるが、業績目標を達成する難しさもあると考えられる。なぜなら、業績予想に対して、半期時点では売上・利益ともに進捗が遅れている。広告宣伝費をかけたらいけると思われるかもしれないが、広告宣伝をかけると営業利益の目標を達成できないため。

このような「予想」もしながら決算書を見ていくと学びを深めることができる。

===========

マーケティングパート:マーケティング視点でクラウドファンディング市場を読み解く

続いて、マーケティング視点の解説パートです。

テーマは「マーケティング視点で新しい市場を読み解くポイント」

株式投資型クラウドファンディングという新しい市場を日本でつくっているFUNDINNOを分析しながら、考え方のヒントをご紹介頂きました。

FUNDINNOのマーケティング戦略全体を分析頂いた内容はこちらです!

画像9

マーケティング視点の分析ポイント
①成長のために動かす主要指標を理解する
②成長の鍵になる打ち手は何かを理解する

①成長のために動かす主要指標を理解する

前提としてFUNDINNOはプラットフォームビジネスである。

FUNDINNOにとって顧客は誰かと考えたときに、
1.ベンチャー企業
2.投資家

この両方をいかに増やし、根づかせいくかがFUNDINNOのマーケティングを読み解くうえで大切になる。

画像8

ベンチャー企業と投資家の取引の中で生まれるテイクレート(手数料)を理解する必要がある。

テイクレート(取引高に対して何%が利益になるか)

FUNDINNOのテイクレートが他のプラットフォームと比較して何%になっているかを理解することが重要となる。

画像7

FUNDINNOを読み解く視点
1.ベンチャー企業と投資家の両方へのアプローチ
2.ベンチャー企業には20%の価値を感じてもらうためのアプローチ
3.投資家に対しては、ベンチャー企業に対する信頼獲得のアプローチ

まだ日本には根付いていない、株式投資型クラウドファンディング市場を日本に根付かせるためには、「三方良しの考え方」が重要になる。

画像10


②成長の鍵になる打ち手は何かを理解する

続いて新市場を創造する上で、どのような打ち手が鍵になるかの解説パートです。

新しいサービスを社会に根付かせていくプロセスを理解するためには、
1.認知獲得のための打ち手
2.信頼獲得のための打ち手
を読み解いていくことが重要となる。

1.認知獲得のためにPRやプロモーションに投資
FUNDINNOは先行者=リーダー企業として、CM・プロモーションを行なっている。

画像11

TVCMはこちらです!

また、PRの一環でパブリック・アフェアーズ(公共戦略コミュニケーション)という言葉が使われる。
規制を自分たち自身が変えていき新市場をつくる動きであり、リーダー企業であるFUNDINNOだからこそできることでもある。

こういった法的な視点も、新しい市場を作るときに抑えておきたい点。

2.信頼獲得のために成功事例をつくる・伝える
FUNDINNOは「日本初」でEXIT事例として(琉球アスティーダスポーツクラブ)がある。このような事例数を増やしていくことが重要になってくる。

画像12

新ジャンルの市場でブランドへの信頼感を獲得するには「象徴事例」が必要になってくる。

海外では、象徴的なEXIT事例が複数出ていることに注目しておきたい。

画像13

FUNDINNOでもEXIT事例が出てきているタイミングで、信頼獲得のチャンスと捉えることができる。これからEXIT事例をどのように発信していくかがマーケティング上のポイントになる。

以上がマーケティング視点でみた株式投資型クラウドファンディング市場、FUNDINNOの戦略を読み解くポイントとなります。

==========

質問コーナー

最後に、向井に対してクラウドファンディング業界を読み解くための質問がありました。主要なものをピックアップさせていただきます!

Q1.クラウドファンディング業界の今後

Q.クラウドファンディング業界は今後、どのようになっていくと思いますか?(全体的な業界の動きなど…)

A.向井
クラウドファンディング業界の全体的な動きは、一言で言うとマーケットは拡大すると考えます。
根拠は、さまざまなクラウドファンディングの種類がありますが、すべてにおいて共通しているのは、クラウドファンディングは、ユーザーの皆様が直接、起案者に投資できる仕組みになっていること。
これまでは、投資・購入するときには、売り手と買い手の間に金融機関やお店が入っていたが、世界的にも代理店の数は減少しており、この構造は不可逆的なものであり、今後さらに進んでいくと思う。

Q2.Makuakeのリピート率について

Q.マクアケの決算書に出てくるリピート率の高さをどのように捉えていますか?

向井A.
とても重要な指標になると思います。
クラウドファンディングの仕組みを考えると、購入者、起案者の両方がリピーターになっていく仕組みがつくれると、プラットフォームとしての力が上がり、参入障壁を形成することにつながると考えている。

Q3. FUNDINNOの手数料20%って高くないですか?

向井A.
「手数料20%」と聞くと高いと思われて当然だと思います。仮に、5000万円調達した企業があって、手数料20%だとしたら1000万円取られるというわけですよね。
ベンチャー企業の方とお会いしたときに、どうやってビジネスしているのか?と聞かれ、「20%の手数料をいただいています。」というと、皆さん固まってしまう…というのが正直なところです。

この部分は考えをしっかりとお伝えさせていただきます。

当社のお客さんで資金を調達していただく場合は3500万円くらいなので、手数料は700万円くらいいただいていることになります。

私たちは金融機関ということもありまして、募集の際にはどのようにお金を使うかというのをしっかりと公表させていただいています。
なので、当社で投資家登録していただいて募集案件を見ていただくと「資金使途」というのがあって、手数料を明記しております。

手数料を何に使っているかということですが、大きく分けて2つあります。

1つ目は、「プロモーション」のため。
募集ページやピッチ動画を作成していますので、そのようなアウトプットになっています。
2つ目は、財務諸表や事業計画の作成サポートです。
これはクラウドファンディング開始時にアウトプットとして出させていただいているものです。

プロモーションというものにはどういった効果があるのかについてですが、現在当社のプラットフォームには6万人の登録がありますので、簡単に言うとその6万人に知っていただくチャンスだといえます。
合わせてその他の支援もさせていただいており、調達に関するプレスリリースや私たち自身がメディアに働きかけることによってテレビや新聞、当社ラジオへのご出演などもプロモーションとして考えていただければと思います。

事業計画はとても大事なことでして、例えば会社を大きくしていくことを考えた時、外部のコンサルタントであったり会計を利用される方が多いと思います。
そういった場合、さらっと作ってもらうだけであっという間に数十万・数百万円かかってくるケースがあります。

事業計画作成の費用と考えれば、手数料20%も、ご納得いただけることが多いです。

最後に、資金を調達して終わりではありません。
そこから私たちとベンチャー企業の関係が始まっていくわけです。

その後の投資家の皆様とのコミュニケーション、株主総会のご支援であったり、継続的に双方のイベント開催であったり、プロモーションに繋がっていきます。実は、企業様からは「手数料20%なんかでいいの?!」といった最高の誉め言葉をいただくこともあります。

手数料の内訳については、実際にご利用いただいた方たちからはご満足いただけるということになるのではないかと思います。

==============

ご参加頂いた方からもたくさんのコメントを頂きました。


presented by FUNDINNO

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?