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【ココロザシPROJECT】|MOTHERHOUSE関西エリアマネージャー 森涼湖さん④

#インタビュー  #熱く働く #ココロザシプロジェクト


インタビューを通して志を持って働く人の内側に迫る企画【ココロザシPROJECT】

どうも、こんにちは。
本日もご覧いただきありがとうございます。

FUNCREA(ファンクレア)というカスタムオーダーのお洋服ブランドを立ち上げ準備中のPAKU FANGI(パク ファンギ)と申します。

前回から『途上国から世界に通用するブランドをつくる』を哲学にかかげ、バングラデシュを中心とする世界6ヶ国の途上国でプロダクトを生産し、日本を含む4ヶ国の先進国で販売を行うMOTHERHOUSE関西エリアマネージャーの森涼湖(もりりょうこ)さんにお話を伺っている最終回。

1,MOTHERHOUSEで働き始めるまでの経緯
2,キルギスで見つけた自分の内なる武器
3,エリアマネージャーとしての自分の武器の使い方
4,森さんが目指す未来、実現したい景色とは

私にとって働くって
自分の器を広げ続けることだと思っています。
愛を溜められる器を広げられたら
今とはちょっと違う世界になるんじゃないかな。


4.森さんが目指す未来、実現したい景色とは

FUNCEA(以下「F」)少し質問が被ってしまうかもしれないんですが、森さんが描く未来像をMOTHERHOUSEとしてもいいですし、ご自身のものでもいいので教えていただけますか?

MORIさん(以下「M」)会社としては、代表の山口に「10年後の理想像を発信してほしい」って言ったことがあるんですけど、「わからない」って言われていて、

「決めるとそれにしかならないから」って言われるんですけど・・・。
すなわち未来は自分で考えていくものなんだと言われていると受け取っています。

私自身がMOTHERHOUSEの未来を考えたとき、MOTHERHOUSEが発信する物事の多面性というか、「世界を色んな方向から見てみた」みたいな価値観を、美しいプロダクトで届けるのが思い描いているひとつではあります。

「次MOTHERHOUSEはどんな新しい美しさを見せてくれるんだろう」という価値観がスタンダードになっていくブランドになれたら本当に素敵だなって思っています。

F 説得力のある世の中を牽引するブランドになっていきたいってことですね。

M はい。今バングラデシュでグリーンファクトリーっていうプロジェクトが進んでいて、日本の建築家さんにお願いしてバングラデシュで町のような工場を作るプロジェクトなんですが、

ただ製造するためだけの工場ではなくて、学校や病院を併設していたり、地域の人が交流していたりっていう、緑いっぱいのカッコイイ工場を作ろうと今土地だけ買っている状態なんです。

F とんでもない規模のお話ですね!

M そうなんです。それが実現するには今の売上では(構想中のグリーンファクトリーの)工場キャパが余ってしまうし(今の工場で足りてしまっているので)、そんな大きな場所に移って町の人まで養うってなったらもっともっと大きくならないといけないので、

グリーンファクトリーを完成させるのは私たち次第なんです。

なので今頑張れているなって思います。

F 自分が頑張った仕事で直接目に見える世界の人が救える。それがただの理想像ではなく着実にここまで形にしてこられたってことが、本当にとんでもないことだと思います。

M これはまだ私の中でも言葉にできていないんですけど、フランスにショールームを作った過程で凄く難しかったのって、ヨーロッパって階級社会なので「途上国の人たちは助ける対象」であってあくまでチャリティーの精神なんですね。

だから(先進国、途上国関係なく)対等に見てほしいんですけど、その概念がなかなか伝わらないのは大変でした。

F 「与える側」と「与えられる側」という、ある意味そういう文化で生きてきているから、理念がなかなか伝わらないんですね。。。

M そうなんです。だから『アジアから世界に通用するブランドをつくる』とういうことの難しさをパリで学びました。
唯一(パリの人の目に留まっていた点としては)日本の女性が、日本らしい色味でデザインして頑張っているという部分は評価はされていたんですけど、本当の意味で今やっていることの意義みたいなことはなかなか伝わっていないんだろうな、と感じています。

MOTHERHOUSEオリジナルのグラデーションレザー

F なるほど。。。今ヨーロッパではMOTHERHOUSEのような考え方のブランドはないってことなんですね。


F 先ほど森さんがおっしゃってた「プロダクトを通して、世界が色んな角度から見える交差点のような存在になりたい」って言葉がとても印象的だったんですが、今のウルライナ情勢に関してはどのような視点を持ってらっしゃいますか?(インタビューをした3/15時点)

M ウクライナの問題もお客様にご質問いただいた際のMOTHERHOUSEとしての見解は、
『MOTHERHOUSEとしてどちらか側に立つということは絶対になくて、(ロシア、ウクライナ)それぞれの人たちに何が起こっているのかというのを理解して、決して思考停止に陥らない。』
というのが私たちのスタンスです。

擁護することと、理解しようとすることは違う。って映画で見たことがあって、
「ハンナーアーレント」っていうユダヤ人の大量虐殺で強制収容所行きの最終のハンコを押していたアイヒマンを取材した映画なんですけど、裁判で聴衆はアイヒマンに対して「悪魔だ」「強制収容所に送るのをわかっていてハンコを押し続けていた」と言って処刑しようとするんです。

そのアイヒマンは「私は自分の責任を全うしただけだ」と主張するんですよね。彼は公務員で、自分の仕事としてベストを尽くしていただけで、「皆さんも自分と同じ立場だったら同じことをしていたと思う」と一貫して言い続けるんです。

この映画はそれを取材しているハンナーアーレントという人の苦悩の話なんですけど、その人自身もユダヤ人なんです。
なんでそんなことが起こったのか、彼の背景に何があったのか、何が彼を突き動かしていたのか、というところを理解しないと同じ過ちを起こす。と主張することによって友人から縁を切られたりするんですけど、

「彼が悪魔だと決めるけること自体が違う。彼を擁護しているわけではない。擁護するのと、理解しようとするのは全く別の話だ」というのはずっと考え続けなければいけないんだと思いました。

F 難しい・・・。

M はい。。。だから今回のこともそうで、「本当にプーチンが悪いのか」「プーチンがそうせざるを得なかった背景に何があるのか」を知らずして批判するのは違うなと感じています。


F とても深い見解のお話ありがとうございます。
少し内容は変わるんですが、組織の運営とかシナジーの出し方についてスタッフの方に話されることがあれば教えていただけますか?

M 実は私BTSが大好きなんですが(照)、今店舗のスタッフのプロ意識がまだまだ足りないなと思っていて、彼らが悪いとかではなく、新卒スタッフに対して(プロ意識を)育てるだけの技量がまだないっていうだけの話なんですけど、
プロ意識ってどうやったら育つのか店長達とよく話す中で、BTSってピラミッド型じゃないんですよね。ピラミッド型の組織はもうやめたいんです。

トップに店長がいて、サブがいて、その下にスタッフがいるんではなく、一人一人が「私この分野では誰よりも能力発揮します」ていう自分の軸みたいなものを持ってそれぞれが個性発揮したら、それが相乗効果になって結果に繋がるチームを作りたいと思っています。

BTSも一人一人完璧ではないけれど、「RAPは僕がやる。だけど歌は彼が凄いんだ」っていうお互いのプロフェッショナリズムに尊敬があって、自分は自分のできることを最大限発揮する。その個性が集まってあんな魅力的な音楽が生まれるっていう。。。。。そういう組織を目指したいと思っています。

F それぞれの役割を最大限果たしながら組織として大きくパワーを発揮する。目指し甲斐のあるロールモデルですね。

M はい、頑張りたいです!それに関連して最近「利他」の本を読んだんです。

F 利他ですか??それは一体どんな内容なんですか?

M 本の題名忘れてしまったんですけど、その本すごく面白くて。
利他って人のためにではなくて、自分が器としてそこにあって、ただ受け入れて自分なりに解釈して、それをGIVEするっていう自然な人間の本能が「利他」」であって、
利他を意識してやろうとしている人は、それは「利他」ではなく「利己」なんだっていう。

F 考えた時点で利己的になるんですね。

M『利他を人のためにやろうと思ってやってる人は、すなわち自分のためにやっているのでそれは本当の利他じゃない。』
って言う内容なんですけど。

その「器」って言う表現にハッとしました。

F 今の「ただ器としてそのまま相手を受け入れる」と仰いましたが、森さんはそれを人生で実践されているように感じます。

キルギスのおじいさんのお話にもあったように、誰からでも学びはあるし、関わってみないとその人やものの本質は見えてこない。その為にはまず自分が裸になってぶつかっていくってのは森さんの特殊能力ですね。

M ありがとうございます、そんな風に言っていただいて。(照)
(相手に)好きになってもらおうと思ったら、自分から好きにならないと始まらないので。なんか、徳を積んでるって気がしています。

F 働くことがですか?

M いえ、人と関わることが。

世の中って腹の立つ人っているじゃないですか?自分とは全くスタンスが合わなくて。最初私も腹が立つんですけど、でもそれって自分にとっても憎しみやストレスしか生まないなと思って、

ちょっとだけ自分が譲歩して今ある自分の器を意識して広げてみて、「この人の可愛いところないかな?」とか、お茶目な部分を探すようにしています。

「この人のここは凄く素敵!」とか、「ここの部分は面白いな」って思えたら、自分が豊かになるんですよ、その瞬間。自分がその人を受け入れられたことによって、自分の器が広げられた。それをさせてくれてありがとうございます。って。(思っています。)


F ここまで本当に内容の濃いお話伺ってきましたが、最後にお聞きします。

森さんにとって「働く」ってなんでしょうか?

M うーん・・・。「進化し続ける」って言うのが自分にとって「働く」原動力だと思ってたんですけど、

今お話しながら自分にとっての『進化』ってなんなのかってことが見えた気がして、働くことって色んな人と関わって、色んな理不尽さだったり未知のことに遭遇するけど、それに対処していくことが仕事の本質だと思っているんですけど、

それによって自分の器を広げていることに繋がっているなって。。。

なので、私にとって働くことは『器を広げ続けること』なのかなって、質問していただいて思いました。

F 今日お話を伺っていて、今の一言で全て繋がった気がしました。

M 「進化し続ける」って「成長し続ける」と同義だと思うんですけど、それだと今の世の中しんどいなって最近思っていて。

 今まではスポ根で「成長し続ける!」みたいにやってきたんですけど、「果たして自分がやりたいことって本当にそうかな?」って思った時に、斜めで右肩上がりの成長曲線の形ではなく、どちらかと言うと広く深く世界と接していきたいと思っていて、

より愛を貯められる器をもっと広げられたら、ちょっと違う世界になるんじゃないかなって思っています。

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