アゴの問題、顎関節症(がくかんせつしょう)について。「土台を診ないで顎関節に手を出してはいけない理由。」
こんにちは New York FuncPhysio(ファンクフィジオ) の高田です。
顎関節症(がくかんせつしょう)って何?
今回はあまり聞きなれない顎関節症について書きたいと思います。
顎関節症の症状は、顎(アゴ)のクリック音やアゴの歪み、開口と閉口の制限や開閉時のカクカクした動き、顎の痛み等です。
例えば、顎が痛く片一方の歯でしか噛めないといった症状は顎関節症の症状です。しかし実際は顎関節症の症状はアゴの痛みだけではありません。
顎関節は首(頚椎)、頭蓋骨(頭の骨)、口腔内の構造、顔の感覚をつかさどる三叉神経(さんさしんけい)、自律神経、さらには耳の構造などと密接な関係があります。
三叉神経
例えば三叉神経に問題があると耳の辺りや顔痛、痺れや、口や鼻の感覚異常など様々な症状が出ます。
また顎関節は首関節、蝶形骨(ちょうけいこつ)などとも非常に密接に関わっていますので、頭痛、首肩痛、耳鼻科的問題、または迷走神経への圧迫などを通して自律神経疾患などにも影響を及ぼすことも少なくありません。
蝶形骨(ちょうけいこつ)
ですので、顎関節の問題といってもアゴのみに症状が出るとは限らないのです。
三叉神経痛
実は日本人の75%の人が顎の問題を抱えている?
顎関節症ですが、馴染みのなさとは裏腹に、日本の統計では人口の約75%が顎関節症の兆候(アゴの異常な動き、クリック音、圧痛)があり、人口の約33%が実際に顎関節症をわずらっているとされています。
特に女性の方が男性より2~3倍も発症率は高くなっています。
実際に口を大きく開けると痛みが走る、クリック音が鳴る、または硬いものを噛むとアゴが痛いという人は少なくないのではないでしょうか?
この様に問題を抱えている人が多いにもかかわらず、実際に治療を受けている人の割合は約3.6~7%に留まっています。
文章の最後に「自分で出来るセルフチェックリスト」を添付しておきました。チェック項目が多い方は要注意です。
なぜ治療を受ける人が少ないのか?
なぜ顎関節症に対して治療を受けている人の割合がこんなにも少ない割合なのか?
その理由として考えられるのは、
①疾患に対する世間の認知度の低さ
②他の症状と見分けがつきにくい
③顎関節症を治療できる医療従事者が少ない
この三点だと考えます。
①疾患に対する世間の認知度の低さ
アゴのクリック音や異常な動きは痛みの症状は出ていない状況ですので疾患だと気づいていない人が多いです。
例えば、私の妻も「口が開きづらい」「大きく口を開けるとアゴが痛い」と言いますが「大きく口を開けなければ問題ない」と考え自分が顎関節症を患っている認識は無かった様です。
本人の自覚症状もなければ世間の疾患に対する認知度も低いのでアゴに問題があると認識している方が少ないです。
しかしながら、こうしたアゴのズレなどの兆候が何年も、何十年も続くと実際に痛みや他の症状を引き起こしていきますので、早期に発見し対策を施していくのが得策です。
②他の症状と見分けがつきにくい
アゴの歪みからくる症状がアゴだけに出るとは限りません。
冒頭で話したように、顎関節の周りは様々な組織が入り乱れています。
ここでその全ての症状をあげるのは無理ですが、例えば、原因不明の耳鳴り、頭痛、首痛なども顎関節の問題で起こっていることが少なくありません。
例えば耳管開放症:耳とノドをつないでいる菅は、通常は閉じている耳と喉の管(耳管)が開いた状態のままになってしまう病気(耳管開放症)も顎関節の問題から引き起こされているケースも多いです。
また耳が聞こえづらいなども耳の穴を顎関節が圧迫してしまうことが原因で起きていることもあります。
ただアゴに症状が出ていないことからアゴの問題だと気づく人は少ないようです。
③顎関節症を治療できる医療従事者が少ない?
そしてまた治療を受けることができない理由の一つに、顎関節症を認知している医療従事者が少ないことがあげられます。
例えば、症状が酷く手術が必要というところまでいってしまった患者さんには、対応してくれる口腔外科医や専門の歯医者さんなどはいます。
しかしながら、クリック音がする、アゴが歪んで開くなどの異常があるだけですと、たとえ医療従事者に相談しても治療方法があまり知られていないため「普通に起こること、しょうがないこと」などで済まされてしまうことがほとんどです。
悲しいことですが、実際私の持っている アメリカの理学療法の教科書にも「70~80%の人がクリック音やアゴの歪みなどを持っている、しかしそれは普通のことである」という記載になっています。歯科医の先生とお話しする機会も多々ありますが教科書と同様な方が多いです。
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