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010. kuchek(クーチェキ)についてのメモ その2 連載のこと

前回書いたように、そもそもnoteでwebメディアを始めるきっかけが「マガジン機能を使えば、連載コーナーのあるwebメディアができるじゃん」という発想だった。いま現在、連載は3つ。

.原井さん「学習参考書の愉悦」

原井さんは元々短歌がきっかけでつながったフォロワーさん。塾講師であり学習参考書について普段からツイートしていたため、レビュー連載をお願いした。以前、1首の短歌について複数人でよってたかって評する「一歌談欒」という企画をご自身で立ち上げていたこともあり、「企画・編集感覚がある方だから作業を進行するのもスムーズだろう」という信頼感があったことも大きい(そして実際スムーズだ)。
現在は12本の記事を掲載している。原井さん的にはスルスルと書けるものらしく、一気に3本くらい原稿が来ることもあるのでビックリするが、どの記事もしっかり面白い。学習参考書というものが「教える側」にはどのように見えているかという視点も独自の切り口だし、「なぜ学ぶのか?」とか「どのように読むか」みたいな、根底のWHYやHOWにまで触れているので、一見ニッチな気もする学参レビューが、誰でも読んで面白いものになっていると思う。原井さんの観測範囲だと「同業の人に結構読まれている」らしいのだが、僕はもっと幅広く、「最近は学習参考書にめっきり触れていないな」という人にも読まれるものにしていきたい。
ちなみにこの連載で原井さんが紹介したものの中で、いたく感動してしまったのは、小論文についての回の「論理的であるとは、人に優しくなれることなのだ」という、大堀精一さんの言葉。こういう素晴らしいフレーズが学習参考書に隠されているなんて、目からウロコだった。

もりた「情事の後は、必ず金マル。」

もりたにラブホテルにまつわるあれこれを書いてもらっているコラム。
過去の恋愛遍歴を思い出の地を巡りながら振り返るWEBドキュメンタリー企画「東京のつらい場所」を約1年かけてやってきたことで、もりたは今やすっかり仲の良い友人。本業がコピーライターであり、自身で詩の創作もやっていたので、文章を書くことに関しては全く心配ナシ。ただ、ちょっと懸案事項だったのは、文体というかトーン・マナーの部分だった。恋愛関連の話を繊細かつ生々しさも込みで表現するのは「森田玲花」名義で創作する時のもりたの持ち味ではあるのだが、正直、僕自身はそんなに好みの作風ではない(あくまで僕の好みとして、であることは強調しておく)。もりた自身、noteや展示などで色々作品を出したりもしているので、あえてkuchekでは「森田玲花」ではなく、どちらかというとポップで可愛げのある感じの方向、もっと直接的にいえば「いい意味で頭の悪い文章」を書いてほしい、という依頼をした。
もりたはオーダーに120%で応えてくれていて、ラブホテルというお題ながらそこまで生々しくならず、テンションに任せてするっと読める感じの原稿を書いてくれている。ハイテンションで突っ走っているのに、読みづらさが全然ないというさすがの筆力だ。
noteとラブホという題材の相性がよくないのか、そこまで反響が来てないのを2人してちょっと悩んだりしてもいるが、とりあえず継続してガンガン書いていけば、ファンがじわじわ増えてくれるんじゃないかと思っている。

山本ぽてとさん「ぽてと元年」

山本さんは僕の大学時代のサークルの先輩。現在はライターとして活躍している。
実はkuchekの「友人・知人に寄稿してもらう個人運営のWebメディア」というコンセプトは、山本さんが大学時代にやっていたホームページが参照元でもある(僕も2回ほど原稿を寄稿した)。
山本さんは以前、自身のnoteで「山盛りぽてと」と題してエッセイを書いていて、僕はその味のある文章の魅力にかなり衝撃を受けたし、大学時代はあんなにいい文章を書く人だと全く知らなかった。一度2人で飲み会をしたときに、単発の記事を掲載しようという相談がまとまっていたのだが、諸事情あり断念することに。代わりにエッセイの連載をしたいという山本さんの提案を、僕は即OKした。
現在はまだ一本だけだが、「実家に帰省したら家のドアの建付けが悪くなっていた」という話が、何でこんなに面白くて味わい深く仕上がるのだろうか、と読んでいて感嘆した。山本さんがWEBで記事を書いている岩波書店のアカウントなどにも拡散されたので、かなり色々な方に読んでいただいたようだ。WEBメディアの連載という体裁をとることで、企業系のアカウントでも拡散しやすくなるというのも発見だった。

連載はもう1、2本あってもいいなと思う反面、個人運営としてこじんまりやっていくためにはこれくらいの数がちょうどいいのかも、と思案は続けている。
とりあえず、原稿の本数が増えてきている分、もっと多くの人に読んでもらえるように、編集・運営としても工夫を考えなければいけないな。

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