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#ソーシャルイシュー会議 「コロナで学校教育はどう変わるか?」

昨夜にNEWPEACE thinktank主催のSocial Issue Discussionが急遽開かれました!
今回はゲストに鈴木寛さん(スズカンさん)を招き、NEWPEACE代表の高木新平さんとのクロストークを行いました。
http://suzukan.net/
https://newpeace.jp/

告知されたのが前日の夕方でしたが、25名ほどの参加者が集まって日本の教育について多岐にわたる議論が展開されました。
なぜ、急遽開催されたかというと今回の企画はNEWPEACE代表の高木新平さんがご自身のお子さんが小学校に進学する時期が来るので個別にスズカンさんに相談したい、という想いからでした。
やはり、コロナの影響で公教育のあり方が変わろうとしているタイミングなので同じような想いを持っている親御さんや学生さんが興味を持って、参加していました。(わたしは、単純に知りたいという想いだけで参加していましたが)

このnoteでは、Social Issue Discussionで話されていた内容を、私見も含めて纏めていきます。もし、参加したいと思った方はNEWPEACE thinktankを調べてみてください!

・コロナの影響で「オンライン化」はどう進むか?

→まず、デジタル化を進めるためにコロナ以前(10年前)から取り組んでいたことが急に現実味を帯びてきたことに対して取り組んでいた側は悔しい気持ちもある。
⇨これに関しては、オンライン化だけでなく環境問題やオフィスの重要性などコロナ以前には当たり前に変えられなかったことが動き出している。コロナの脅威は全世界の人間全員を当事者にしているので動く範囲も大きいのだと思う。どうか、コロナ以前と同じように戻るなんて思わないでほしいですし、アフターコロナの時代をより良いものにしたい。

→ただ、デジタル化が進んでいるのは一部の学校だけであるのが現実。渋谷区やつくば市などはいち早く取り組みを進めているが、地方にいけば全く進められておらず先生が生徒の自宅に課題を届けているという。地域によって格差が出ているので、このまま進めば教育の格差も広まっていく。他にも、明石市や足立区などでも良い事例はあるが、なかなか進まない。藤沢市や湘南エリア、柏市などのコンパクトシティに期待したい。
 OECDとハーバードが行ったデジタル対応の調査によると、日本は世界でも圧倒的に下位で(インタラクティブな対応をしているのは5%、何らかのデジタル対応をしているのは3割にとどまっている)他のアジア諸外国は意思決定が早くどんどん進んでいる。
 また、日本では私立と公立の格差も激しい。私立や中高一貫校は生徒に入学してもらう(受験の競争優先)ためにデジタル化にも対応をしていき情報を開示している。私立ではPCやwifiを持っていない家庭に対して「買ってください」と言えるが公立ではそうはいかない。ただ、ここには簡単な解決法がある。例えば、35人の生徒のうち34人は家庭内にデジタル対応できる機器があるとする。それならば、1人のために35家庭やPTA会費でお金を出し合って(月60~100円)寄附してあげればいいだけだ。つまり、現場に近いところでの所得の再配分が鍵になってくる。

⇨所得の再配分や困っている家庭に手を差し伸べるのは、コミュニティ文化の要因が強いように思う。昔は、隣近所に余った食材を持って行ったり分けあったりしていた。近代に入ってから、そのような習慣がなくなっていたので自分の家庭だけを見るようになってしまったのではないか。市区町村のおじいちゃんおばあちゃんが子どもたちに昔を語り(絵本や料理)、子どもたちはおじいちゃんおばあちゃんに今を教えてあげる(Youtubeやテレビ電話)。温かみ、みたいなものがなくなっている気がする。

・学校選びは、なにを重視するべきか?

→結論から言うと、その家庭(子ども)にフィットするか相性が良いかが最も大事。私立・公立の分類で考えるだけではダメで、名門校に入っても合わなくて転校や海外の学校に行く子も多いとのこと。それは、井の中の蛙だと気づかされてショックが強いことに起因する。ただ、このショックも悪いことばかりではない。ショックが与えられた時期に周りがどのようにフォローアップしてポジティブに転換するかが大事である。(受験に落ちた時も同じ)
 ここで、反面教師の大切さという話が出てきた。鹿児島のある高校は、非常に厳しく不自由な中で学生は能動的に問題意識を持ち、成長している。不条理がないと英雄にはなれない。ただ、これも不条理がその子のキャパシティの2倍以上超えると潰れてしまう可能性が高い。なので、子供によって不条理の内容やストレス耐性を見極めて、先生や親がコーチングを適切に行わなければならない。ただ、このような環境でうまくいくと、「フロー状態」で身についていくものが多い。
https://leadership.shikigaku.jp/1109/
 OECD2030プランでも、Well-beingの重要性が語られていて、それは「夢中力」をどうやって手に入れるかで、知識よりも「好き」を大事にすることである。(知識のインストールより、考え方のインストールの方が大事)「夢中力」を養うためにProject based Learningを採用すること、つまりバックグランドが違う子ども同士で何か一つのものを作り上げる(①新たな価値を想像する力②対立やジレンマを克服する力③責任ある行動をとる力)ことが大事である。ただ、子どもたちにとっては以上の取り組みをストレスに感じてしまうことが多いのが現状なので、そこを改善しなければならない。

⇨個人的には、学校で教えられたことよりも「遊び」のなかで教えられたことが多い気がする。それこそ、わたしはゲームやテレビ、漫画、映画から多くを学んできた気がする。その没頭する時間を経験してきているからこそ仕事でもゾーンに入って没頭できるのだと思う。学校自体の取り組みや環境も多いに関係するとは思うが、一番は親だと思う。ある程度、放任してくれたからこそ今があると思っている。

・学校教育は少人数の方が良い?

→そうとは限らず、クラスサイズは多様である方が良い。ただし、先生の比率は高い方が良い。1~40人までのクラスを先生はどういう風にデザインするかが問われる。(先生のアップデートが必要)例えば、1on1や年代もバラバラな5人くらいのグループで課題をするなど。先生の強みは、質問に答えらることであって、子どものレベル感や比喩をその場で応えれらる能力が必要。また、日本の強みはコンテンツにあり知識を身に付けるのは映像で良いのではないか。つまり、「反転授業」が求められている。https://benesse.jp/kyouiku/201609/20160902-1.html
 NHK for School(https://www.nhk.or.jp/school/)なんかは学習指導要領にも完全準拠しているし、動画で知識を身に付けるのであれば先生ではなく吉本芸人の方が笑いも取れるし間の取り方も上手いのでそちらの方が向いている。なので、先生はメンターのような存在になって、あるいはチュートリアルを採用して個別最適解を導いてあげるようになることが良い。では、反転授業が可能になった時に学校の役割は何かというと、「みんなで何かする」「誰かとつながる」「友達を作る」「コミュニティを形成する」という機能である。ラーニングピラミッドでも学習定着率の頂点は「他の人に教える」である。

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つまり、生徒同士で教え合う文化(ヨコ・ナナメの学び)が大事なのである。先生は数十年前にわかったことを教えるが、友達は三日前にわかったことを教えるのだからプロセスの解像度が段違いなわけである。こういうことを踏まえると、先生には「待つ力」が求められる。つまり、生徒一人一人との信頼関係を築くことが大切になる。ただ、担任の先生には任期があり締め切りがあるので悠長にはしていられない。反対に6年間一緒の担任で相性が悪いと最悪なので考えものである。いろいろな側面で学校側が変わらないといけないのだが、学校が一番怖いのが保護者である。一部の声が大きい保護者によって教育委員会を動かし、メディアを動かすので、先生は疲弊し大胆な変革どころかその場しのぎの対応しかできなくなる。ただ、これは一部の保護者だけが悪いわけではない。見て見ぬ振りをしているその他の保護者も共犯である。これは国民性もあるのかもしれないが見て見ぬ振りをすることで自分の子どもも含めて悪影響を与えることに繋がっていることを理解すれば、同調圧力に屈することなく反対意見をあげることができるのではないか。

・コロナの影響で教育の内容は変わるか?

→学校教育の最大の課題は、時間割があることである。コロナの影響で自宅にいる時間は大幅に増えているので、家庭学習には時間の制限がない。コロナ以前は親の時間設定の都合で「宿題やりなさい!」など子どもを追い立てていたが、今は、自由な時間が多くなってきているので勉強する時間も遊ぶ時間も大幅に増えている。ここで、世の親御さんは子どもの遊びの時間が多すぎることを危惧するだろうけどスズカンさんは自身の経験から「放っておく」ことも大事だと語っている。遊ぶことを叱りつけるから違うバイアスがかかり子どもは抵抗するように遊び続ける。しかし、遊ぶことに夢中になればいずれ飽きて卒業する。その然るべきタイミングを見計って、コミュニケーションをとることが大事である。このような状況から、学校教育は1つのピースに過ぎず、家にいる時間や空いている時間をどう過ごすかが大事である。つまり、親の采配やNPO・NGOなどの親代わりになる人たちが大事であり「まち」「コミュニティ」とどう付き合っていくかが問われている。

・高校生からの生の声

→Discussionの終盤で参加していた高校生から発言があった。
【高校生の声】
「コロナで家にいることがストレスに感じてきた。監視されるのは嫌だが、学校に行きたいし、与えられた課題にも一人で家では集中できない。オンラインを早く普及させて欲しい。友達と話せないのが辛い。」

→やはり、学校によってオンラインが普及していないところもあり、それは校長先生の裁量に左右されてしまうので生徒たちで自主的にオンラインのプラットフォームを作っていくのが良い。例えば、ホームルームや朝会、夜会などを友達同士や生徒委員会で発足するなど。課題や宿題は共苦体験なので、一人で取り組むモチベーションは湧きずらい。

⇨高校生が今の心境をリアルに吐露してくれたことで、みんなで課題に関して考え、突破口が見えた瞬間が議論の中で見れたのが本当に素敵なことだと感じた。しかも、その高校の先生も参加していたので一緒に取り組んでいただけると嬉しい。ただ、その一方でSocial Issue Discussionしかり、こういうオンラインでの取り組みなどの情報を取りにいけてる人が何人いるのだろう。おそらく、そこには都心や地方での情報格差が広がっている。ただ、一つでも多く良い事例を作って、それを広めていくことで情報が届かない人を一人でも多く生むことが大切だと感じた。改めて、ここに参加していてよかったと思いました。

・コロナを機に、制度的に社会規範的に変えるべきことは?


■近代のおかしさに気付いた
■優先順位がおかしかった(家庭・仕事など)
■環境問題、大気汚染が改善されている(以前は、取り組んでも改善できなかった問題が改善され始めている)
■幸せの再定義(個人・組織・日本・世界レベルで)
■都心に住むことの意義が問われる
■VUCA時代に対応する(リスクに対応するためには多様性が必要)
■終息したあと、忘れないで欲しい(元に戻らないで欲しい)

⇨コロナの影響で、様々な「気付き」が個人の中であると思うので、それを忘れずに発信していくことが大切だと思う。一人一人の言葉がムーブメントを起こすことができるようになっていると思うので、アフターコロナをより良くするために何を残して何を改善すべきかを今後も考えていきたいと思いました。

・最後に

⇨長くなりましたが、約2時間のディスカッションでこれだけ多岐にわたる議論が繰り広げられました。おそらく、抜けてしまっているところもありますが学びがあれば幸いです。また、「楽しそう」「参加したい」と思いましたら是非、お声がけください。読んでいただき、ありがとうございます。

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