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114 クローバーが教えてくれたこと

桜の木が葉っぱを出して、新緑の季節へ歩み出しています。
雨がたくさん降って、せっかく咲いた薄ピンクの花が散ってしまうのはさみしいことだけど、きっとまた来年も会えるよね。そう思いながら電車の外を流れる桜並木をながめていました。

その日は仕事に出たものの、会社から帰宅するよう指示が出たので、明るい時間静かな電車に乗っていたのでした。

窓の外に現れては去っていくビルや樹木。
川に通りがかったとき、あ、と思いました。なにかを思い出しそうになりました。

そのとき、目にぷちっとした痛みが走りました。
ものすごく痛い訳ではないけれど、異物感があって変な感じ。
小さなごみが入ってしまったのかな、と思い手鏡で目を確認しました。
すると、下まぶたと瞳の間に、とても小さなにきびのようなものができています。
それが目に当たって痛みが出るのでした。

この小さなにきびは、私の場合、お化粧が上手に落とせていなかったり、寝不足が続いたときにできるものです。何年か前に初めてできたとき、知り合いのお医者さんに聞いたら、「目をあたためればすぐに治るよ」と教えてくれました。

家に着いて、さっそくホットタオルを作ります。
平日の明るい時間に自宅にいるのはへんな気分。
音のない部屋は、なんとなくよそよそしく感じたので、ボリュームを絞って音楽をかけました。

ハンドタオルをぬらして電子レンジで2〜30秒。
あっという間にホットタオルの出来上がりです。
肌に触れない方の面に木の香りがするファブリックミストをかけて目に当てます。
やさしい木の香りに包まれて、目がじんわりとあたたまります。

その時、電車の中で頭に浮かびかけたことを思い出しました。
窓の外に見えた川を上流の方に向かって少し歩くと、白つめ草とクローバーがたくさん生えている場所があるのです。一本大きな木があって、その根本を守るようにふわふわと白いお花と緑色が広がっています。

幼いころ、よくその場所で白つめ草のミニブーケを作っていました。
ブーケはクローバーも混ぜて麻のひもで括って作ります。
四つ葉のクローバーが見つかることもありました。

四つ葉のクローバー。
幸せを運んでくれるという言い伝えがあります。
私は三つ葉も好きだったので、あまり熱心には探していませんでしたが、ときどき見つけるとやっぱり気持ちがたかぶりました。

三つ葉だと思っていたら、他の葉っぱにかくれていた四つめの葉っぱが出てきて「わぁ」とうれしくなるのです。

四つ葉のクローバーは幸せを運んでくれる。
素敵な言い伝えだなと思いました。

クローバーはどこにでも生えていて、四つ葉は探したら見つかります。
探さなくても、ふとしたときに見つかります。

まさにしあわせそのものだと思いました。

くたびれてお化粧を雑に落としていた私、睡眠不足になってしまっていた私。
なんとなく気持ちがすさんだまま、会社に行っていました。
はやく今日がおわらないかな、なんて思いながら。

そんな私に、小さなにきびは「ちょっとひと呼吸おいたら」と教えてくれたのかもしれません。
白つめ草やクローバーを摘んでいたしあわせな記憶とともに。
忙しくても、くたびれても、不安でも、しあわせはいつもそばにいます。

目に当てたタオルの熱がすぅと引いていくのを感じながら、そんなことを思っていました。
タオルをはずしたらなんだかすっきり。目の奥までぽかぽかとほぐれました。
小さなにきびはさらに小さくなっていました。


今回も最後まで読んでくださってありがとうございました。

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おまけ
小さな小さな模様がえをしました。
スパイスたちのそばに街並みを。

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