マガジンのカバー画像

窓辺で本を

13
これまで読んだ素敵な本たちをふむもく視点でご紹介します。
運営しているクリエイター

#読書メモ

112 私の本棚-白木蓮の季節編-

この冬の終わりにも白木蓮が咲きました。 ふっくらとした、やさしい花が春の訪れとともに咲きました。 今年の白木蓮と出会ったのは、三月のはじめ、お仕事へ行く途中でした。やや霞みながらもきれいに晴れた平日、木いっぱいに白いお花が広がっていました。 その白木蓮は、川沿いの道に並んでいる桜たちの中に二本だけ紛れているのです。毎年、桜よりも何週間か早くつぼみをふくらませます。 少し離れたところから見るせいか、白木蓮に気づく時はいつも満開です。 ふわふわと木を彩る白木蓮。今年も会えた喜

105 私の本棚-1月編

たとえば、なにかに成功したとき、あるいは失敗したとき、こんな言葉が思い浮かびます。 「君は何を学んだ?」 大気が微かに揺れ、風が笑った。 -『風の歌を聴け』 村上 春樹著より あるいは、不意にひとの心が見えたとき、こんな言葉が聞こえます。 あんなふうに落ち着いて、白くて、誰もがじんとして泣きたくなるような明るくてきれいな場所があなたの中にあるのね。 ―『サンクチュアリ』 吉本 ばなな著より こういったときに、これまで読んできた本が私の血肉になっていると感じます。 言葉

017 窓辺で本を-なくなりそうな世界のことば-

あなたは、好きな言葉を持っていますか? 私はたくさん持っています。 本を読んでいる時や人と話をしている時、テレビを見ている時、歌を聴いている時、道を歩いていても。そこかしこに言葉はあふれているので、さまざまな場面で琴線に触れる言葉と出会います。 私の場合、好きな言葉と出会った時はいつもびっくりしてしまいます。 「えっ」 と。そしてもう一度その言葉をかみしめて、しっかりと頭の中にメモします。 そういった大切な言葉たちが、ふとした瞬間に助けてくれることも多くて、言葉のちからを感