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ふむもくエッセイ

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ふむふむと思ったことと、もくもくと感じたうれしいことを集めました。
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#時間

092 落ちていく時間

朝、勇気を出して窓をあけたら空きれいに晴れていて、ちょっとうれしい気持ち。 でも、空気はぐんと冷たいです(さむい朝に窓をあけることは、ちょっとした覚悟が必要なのです)。 すいっと冷えた空気が私を包んで、鼻から体の中まで冷やします。 さむい。でもなんだかいい気持ち。 そう思って見上げると、思っていたよりもずっと速く雲が流れていました。 いつもはどちらかというと止まっているように見える雲がふいふいと流れていきます。 あ、きちんと時間は流れている。 こんな風に、あたりまえのこ

090 ぜいたくな時間

何年も前から、お手本にしたいな、と思っている人がいます。 それは、図書館にお勤めしていたころに出会った女性の職員さん。 なにをお手本にしたいかと言うと、しぐさです。 その職員さんは、どれほどいそがしくても、そして(おそらく)急いでいるときも、丁寧に見える素敵な立ち振る舞いをされるのです。席の立ち方、座り方。物の持ち方。大学を卒業したばかりの私は、素直に「素敵なひとだな」と思いました。 ゆったりとしていながらも無駄な動きがないので、結果的に早い対応ができています。 この方に

079 時間について

つくづく思うのですが、どうも私が過ごす時間は、周囲のひとよりもゆったりと流れているようです。わるく言えばのろま、ということになるのだけれど、一日は二十四時間だし、一時間が六十分という時間の決まりは同じはずなのに、なんだか不思議なことです。 たとえば、会社で意見を求められたときに、ふむ…と考えていると「あ、いいよ」と言われてしまうことがあります。「あれれ、いいの?」と思っているうちに、その人はひらりとどこかへ行ってしまいます。しかし、一度考え始めたら答えを出さなければ気になっ