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なぜ移民問題は起こる?(ドイツ そのごくごく一端)


写真はベルリンのホテル、パトリック・ヘルマン。
ヴィラを改装したホテルである。
シャネルのデザイナーだった、故カール・ラガーフェルトのインテリアデザインでも有名だ。

ここに泊まった時のことだ。
夕刻、結婚式を終えたカップルがここに宿を取っていたらしく、ボンネットに花束を乗せた車が駐車場に入って来た。
ホテル前は新郎新婦とパーティー招待客でいっぱいである。
どうやら、結婚したのはアラブの国の方らしい。
1940年に石油が発見され、それを機に繁栄がもたらされ、今では観光でもブイブイ言わせている小さいけど金持ちのあの国である。

私は、友人と夕食の約束していたので、ホテルの駐車場から車を出そうとした。

うう、出られない…。
車回しが結婚式の招待客とその車で埋まっているからだ。
仕方なく、直接、その人混みに泳ぎ入り、
「お楽しみのところ申し訳ないけれど、道を空けて下さい。」
と拝み倒すこと10数回。
ジワジワとよけてもらう。(ここで10分)

やっとホテルの敷地内から出る。

なんと、ホテル前の通りは何台もの招待客の車ですっかりブロックされているではないか!
一応、形だけは歩道に半分乗り上げているが、キッチリ他の車が通れるようには寄せていないから意味がない。
ひん曲がって停まっている車もある。

この辺は閑静なお屋敷町で、普段は車通りも多くないはずだ。
それが、招待客渋滞が起こってしまっている。
夕刻、帰宅しようとしている人たちの車が数ブロック数珠つなぎになり、はるか彼方まで延びているのだ。
暫く上品に待っていた人たちの間から、遠慮がちなクラクションが鳴る。

それでも退かない。
招待客たちは、そこここでグループを作り、井戸端会議をしているのだった。

仕方ないので車から降り、
「この車(✖️10)の持ち主はどなたですか?車を退けていただけませんか?」
と頼んで回る。

さらに20分、やっとモーゼの海割りのように道がゆーっくり開く。


ドイツには規則が死ぬほどある。
細かいことまで法でキッチリ決まっている。

公道を塞ぐなど、すごく嫌がられることだ。
こんな静かな住宅街でなければ、人々のクラクション(場合によっては怒声)は天を衝く勢いであったろう。
もしくは、即、通報。

規則キチキチのドイツ人の中に、こういった、かなり違う感覚を持つ人たちが入ってくる。
ドイツ人は「許せん。」「考えが違いすぎる。」と思うだろうし、あちらにしてみたら、
「どんな理由があって、そんなに急ぐ?」
「何をそんなに怒っている?」

軋轢が起こらないわけはない。

ホテル前に結集していた彼のアラブ国の人たちが、移民なのかどうかも、私には分からない。

しかし、こういった感覚の違い、生活習慣の違いは、移民の数が増えれば増えるほど大きな障害になるはずだ。

日本人の私は、とりあえずドイツの習慣に沿って生活するようにしているが、
「なんで自分たちのやり方でやっちゃあいけないの?」
という文化の人たちだって居るわけだ。

大変です。







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