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フロントエンドカンファレンス北海道2024 参加レポート

2024年8月24日(土)、北海道札幌市で行われたフロントエンドカンファレンス北海道に一般参加枠+懇親会で参加してきました。
前日に飛行機の遅延でホテルに着いたのが2時だったりして波乱の幕開けでしたが、結果としてとても良い時間を過ごすことができました。その内容をレポートします。

参加の目的

今回遠方から参加するにあたって、いくつかの目的を設定しました。次の4つです。

  • 実務で役立つ技術を知る

  • フロントエンドの最先端のキャッチアップ

  • 勉強のために北海道に来る酔狂なエンジニアたちと交流する

  • 懇親会で北海道のおいしいご飯を食べられるのではないかという期待

酔狂なのはお前もやないかい。

目的は果たされたか

今回のカンファレンスで特に感じたのは、「セッションのバランスの良さ」でした。実務の知識と最先端の技術のセッション。ウェブ標準の深い話からデザインシステム、設計論の話まで用意されており、今すぐ実務に生かせる知識や知的好奇心をくすぐる話を幅広く聞かせていただきました。実務の知識に収まらない意義のあるカンファレンスでした。

また、最先端の技術をキャッチアップしに行った自分でしたが、むしろ既存の技術の深い部分に触れ、ウェブの浅瀬でちゃぷちゃぷしていたことを思い知らされました。
web標準のドキュメントを読み込み正しい仕様を理解することが、技術を使いこなす最も冴えたやり方だという当たり前のことを再認識しました。

特に印象に残ったこと

特に興味を惹かれたのは「人間の不完全さを技術で補う」仕組みづくりについてのセッションです。より現場に即したルールをLinterのCustom Ruleを作成して厳格にチェックする。レガシーなシステムに対して破壊しないよういろいろなチェック機構を少しづつ適用しながら丁寧に置き換えていく。そういったアプローチで課題を解決している組織があるということに感銘を受けました。

ミスをしない仕組みは人に優しい仕組みだと思います。ミスをしたら悲しい気持ちになりますもんね。
SRE的な役割の整備は忙しいほど後回しにされがちなので、それらを実現するナレッジをあらかじめ高めておく意識が高まりました。

各セッションのまとめ

さて、参加させていただいたセッションの一部について、トピックごとにまとめた感想を書きました。

今回どのセッションも興味深く、参加できなかったものも分身して聞きに行きたいと思ったほどですが、時間や紙面の都合で一部のセッションについてのまとめになってしまうことをご了承ください。

デザインシステム

感覚的に作るものという印象だったカラーパレットが実は計算された論理的な成果物ということを知り、少し手の届くものに感じてきました。
デザインツールの進化によって開発はよりシームレスで便利なものになるだろうとかんじています。今が転換期、デザイナーもエンジニアもキャッチアップが必要だと強く感じます。
また、これらの優位性を組織に浸透させるにはメンタルモデルへの理解とそれを伝えるリーダー的存在の重要性をあわせて感じました。

アニメーション

今回フロントエンドカンファレンスにしてはアニメーションの話題は少なかったように感じます。その中でどうけさんのセッションは実例を交えてアニメーションの原則をわかりやすく説明されていました。
自分が登壇する機会があればアニメーションの話はぜひしたいところです。

ウェブ標準

今回自分が一番食らったトピックです。全ての開発者に関係のあるトピックである一方で、大半の人が曖昧なままにしている領域ではないでしょうか。
ウェブ標準の仕様については「ある程度は」経験則で身につくものです。しかし本質的に理解すること、他人に説明すること、新しい仕様を理解するためには読み解き方を知っている必要があります。
今回のいくつかのセッションではそのような厳格な姿勢をもつエンジニアの姿を見せてもらい、いま一度丁寧にウェブに向き合おうと思いました。

アクセシビリティ

ともすれば後回しにされがちな領域のアクセシビリティについてのセッションも多かった印象です。アクセシビリティが「配慮」ではなく当然のルールとして浸透していけばいいと思います。

Linter

ごまんとある開発のルールを人間の意識だけで遵守することは不可能です。コメントを丁寧に書いても読まれないことはままあります(これは意識が低いとかではなく、人間の認知能力の限界だと思っています)。
なので、ルールを決めた人が遵守させる仕組みとしてLinterの強制力を使用するのはとても有用な仕組みだと感じました。

これまでLinterは基本的なお作法を守らせるものだと思っていた自分の認識を改める機会となるセッションでした。

リプレイス

悲痛な気持ちになるトピック...🥲
既存のコードを壊さずに移行するためのさまざまな知見が得られました。

  • 徐々に移行する

  • 命名の変更も立派なリファクタリング

  • 自動化と人の手の入る作業を混ぜない

  • 初めから移行を前提とした設計をする

リプレイスはどうやっても痛みを伴う作業なので、なるべく辛くないやり方、エンバグを起こさないやり方を考え続ける必要を感じました...。

wasm

今回のカンファレンスで一番モダンなトピックと言っても過言ではないでしょう。自分はまだ必要性に駆られることが薄くほとんどwasmを触れていないのですが、純粋な技術としての面白さ、フロントの可能性を推し進める技術として興味が深まりました。

wasmは個人的には他言語のエンジニアがJSのランタイムを使う方面での活用が先になるような可能性を感じています。そういった時代に備えてJSのエンジニアとしてもスムーズな技術導入を可能にしていきたいと思いました。

テスト

テストの運用からニッチなお話まで聞かせていただきました。ハンズオンまで用意されているのありがたすぎる…🙏
内容だけでなく、LTのやり方の一つとして参考にさせていただこうと思いました。

その他

その他で雑にくくってもうしわけありません…🙇‍♂️
yataさんの多言語対応についてのセッションは5分と思えない情報量でまとまっていて、個人的最優秀LT賞でした。
ここに書ききれなかったセッションもそうですが、「フロントエンド」というカンファレンスのおかげで他の勉強会ではなかなか聞けない切り口のセッションもいくつかあったのではないかと思います。

スポンサーブース

クイズがあったり、ノベルティでカレーもらったり、いろいろなお話を聞かせていただいて楽しかったです!ありがとうございました!

懇親会

お寿司やLeTAOのチーズケーキなどが続々デプロイされ、ビールが無限に出てくるとんでもねえ懇親会でした。すべての勉強会を北海道でやるべきではないでしょうか。

大トロは一瞬でなくなりました

まとめ

今回のカンファレンスを通して、「フロントエンドの世界は広すぎる!」とみんなが思ったのではないでしょうか。
ただ、それぞれの技術には元となる技術があり、それらを正しく理解することで新しい技術への理解が深まる、ということを強く意識付けるカンファレンスでした。焦らず着実に身につけていきましょう。

今回興味が惹かれるセッションが両会場でたくさんあり、「体が2つあったらいいのに!」と何度も思った。とても贅沢な時間だったと思います。

自分は技術を学ぶ同期で、「役に立つ」から勉強するものと「面白い」から勉強するものがあります。今回のカンファレンスでは両軸から好奇心を刺激され、学びたいトピックが大幅に増えました。いったいどうしてくれようか!

また、情報を受け取るテイカーの立場から、徐々に知見を提供するギバーとしての役割を積極的に果たして行きたいと思いました。また開催されるその時は、ぜひ登壇者として参加できるよう準備をしておきます。

運営のみなさんにはこのような素晴らしいカンファレンスを開いていただき、感謝の気持ちでいっぱいです。ありがとうございました、お疲れ様でした!


会場もすごかった。


スライドをまとめようと思っていましたが、まとめていただいた素晴らしい記事があったのでリンクを貼らせていただきます。


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