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褒め逃げされた話

とある月曜日。

ただでさえ前日にサザエさん症候群を患っていた私は朝からすこぶる体が重く微熱もあったので、体調心調絶不調な感じで出社していた。(絵に描いたような社畜ぶり)

デスクに座った途端、休み中にクレームのメールが受信ボックスにチラッとあるのを見た記憶が、ヘリコプターの中であらゆる記憶を取り戻した夜神月のようにブワァーーッと蘇り、モチベステータス-100000へ滑落。
「計画通り」とほくそ笑むことがなかったことは言うまでもない。

できれば第一発見者であることを悟られないよう他の仕事から手をつけてしまおうと思った。 誰かになすりつける方式。

いや……

でも……

クレーム対応って、縄文時代から「早い!誠意!感謝!」が大事って言われてる……もんなあ……

早い=返信/対応が早い
誠意=自分が持っているボキャブラリーから数々のお詫びの言葉を引き抜き、駆使しまくり、相手をなだめる
感謝=貴重な意見をよこしてきたことに感謝する
ふづお

休み中にきていたクレームは、月曜の午前中に返信しておくのが言わずもがな吉。
嫌なことは早めに済ませた方がいいってメンタリストDaiGoも言ってた。

なら仕方ない。実質的に重い腰を上げ、腕を上げ、指を上げ、謝罪メールを書き進めていく。

ちなみに私の部署にはもう1人、私より何ヶ月か先に入社した男性の先輩がいる。
余談ですが、彼はやたらとエンターキーを押すのが強く、押すモーションも大袈裟な方です。エンターキーも、毎日それを耳にする私のメンタルもそれなりに壊れかけています。

カタカタカタカタ、指が羽生結弦なみのすべりで謝罪メールを書き進める。最後は変なところはないか読み返して送信。

〜数分後〜

先輩「ふづきさんってメールの文章丁寧だよね」

私の謝罪メールを読んだらしい先輩が突然こう言ってきた。

私「いや〜そんなことないですよ〜(謙遜)」
↑褒められて謙遜をかます大和撫子な私。

先輩「俺のメールなんか雑だもん。この間なんか『(雑なメール文の例)』ってお客さんに返しちゃったもんな〜」

私「え〜雑ですか〜!? 割と参考にしてるんですよ〜!」
……なんて言っておけば正真正銘私は大天使ミカエルの生まれ変わりだったのだけど、先輩の言う通りお世辞にも丁寧だと思えないので言わなかった。

しかも私には、先輩のセリフがこうも聞こえた。

先輩「ふづきさんってメールの文章丁寧だよね」

意訳:「ふづきさんが丁寧に書いてくれるから、雑に返しちゃう俺はメール対応しない方がいいよね」

いや、わかんないよ? 私の体調がすこぶる悪いからこう聞こえちゃったのかもしれない。そういう日だったってだけかもしれない。上手く言葉を受け止められない日だっただけかもしれない。

でもなんか……
でもなんか……

不愉快〜〜〜〜〜!!!!!

その時の会話は私の下手くそすぎる愛想笑いで終わったけど、その次の日も、その次の日も、私はメール対応をしていた。

え待って待って、これってもしかして、褒め逃げされてる??????

自分がやりたくないことを、上手くやってのけてる人を褒めることで手のひらで転がし、自分はやりたくないことを回避する、新手の手法カナ❓❓😅💦💦
(心が乱れた結果、おじさん構文が出てしまいました)

「お客さんからのメール対応=私のタスク」が定着するのは本当にご勘弁いただきたい。

先輩、言っておきますけど、なんで私のメールが丁寧なのかって、ちゃんと「時間をかけているから」なんすよ????
言葉選びに気をつけて、何度も読み返して、その度に直していく。そういうのを繰り返してやっと送信するんすよ!!!!

そりゃ私だってチャチャッと送っていいならそうしますよ。あなたがやってるように雑にメール送りますよ。そうしてやりたいっすよ。他の仕事あるし。

でも誰かがやらなくちゃいけないんだよ。誰かが、自分の手を、血で染めないと!!!!!(ベルトルト風)

とにかくこうやって、術中にハマった最近の私ですが、メール対応は私にしかできない仕事では決してないので、先輩にもやっていただきたいと思います。断固として。
それを続けていけば、「お客さんからのメール対応=みんなのタスク」にすり替わっていくはずです。

そして、「計画通り」と私がほくそ笑む日はそう遠くない未来……のはず。

そうさせてくれ!!!!

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