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【企画参加】まろがくれたいっぱいの幸せ


今回は、えぴさん企画の「猫と帽子の創作コンテスト」に参加させていただこうかと思い、パソコンで筆を進めています。
私は猫大好き人間なもので、ギリギリながら参加したく急いで書いております(^^;

といっても今現在、多忙なため過去記事のリライトでの参加なのですが。
えぴさん、どうぞよろしくお願いいたします(*- -)(*_ _)ペコリ


以下、えぴさんの募集記事です。

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その猫、”まろ”は私の実家が住むマンションに現れた猫でした。実際は我が家や私の実家で飼っていた猫ではないけれど、うちのペットも同然の猫だったのです。まろは実家のマンションの同じ棟に住む飼い主さんちの猫でした。

名前のまろは、まろが小さかったころに眉毛があり、それが平安時代の人の眉のようだったからだそうです。平安時代の人の名前に、何とかの麻呂という名前がありますよね。まろの飼い主さんのセンスで、それにちなんで名付けた名前なのです。まろはちょうど見出し画像のような柄の猫でした。

そのまろが、その飼い主さんに飼われるようになって以来、マンション裏の駐車場にたびたび出没するように。となると私は大の猫好き。「ニャーン」と言っては現れるまろをしょっちゅう追いかけていると、いかにも嫌そうに「ニャアン!」と言って怒るのです。本当に嫌がっているような感じなのです。

けれど何ヶ月かたったある夏の日、熊谷市が40度の猛暑日に、まろは毛皮を着ているため、とても暑がりバテてヒーヒー言っていました。あまりに見かねたので、私は花鉢のプラスチックの受け皿に水を入れてまろにあげたのです。

するとまろは、ピッと起き上がって急き込んで水を飲み始めました。暑い中でよっぽと水が美味しかったのでしょう。ひとしきり飲んだら、水をくれた私に対する警戒心は解けたようです。「ニャーン♡」とすり寄って甘えてきました。もうこうなると私を命の恩人と思っているかのようでした。

けれど猫はきまぐれ。私がまろを見つけて「まろ〜(^^)/♡」と寄って行っても、気が乗らなければ「ふん!」と言わんばかりに逃げてしまいます。けれど逃げてマンションの階段を5階まで登ると、階段の手すりの隙間から「ニャンか無視して悪かったかなあ、ごめんねー。」
と言っているかのような表情で下にいる私をじっと見つめるのです。まるで本当に悪かったと思っているかのように。

私は「あれっ!?」と思いました。まろが人間のような感情を持っているかと思ったのは、この時が最初でした。
「まろー!」
と私は声をかけましたが、まだじっと私を見つめていました。こんな猫も面白く珍しいなと思いました。

まろはその後も、飼い主さんのみならず私にも様々な表情を見せてくれました。飼い主さんが長時間出かけたりすると、寂しがって最寄り駅の植え込みに潜って、飼い主さんが帰ってくるまで何時間も待っていました。まるで忠犬(猫?)ハチ公のようでした。駅まで行かない時もあり、そんな時に私に出くわすといつまでも私の足元にまとわりついてくるのです。飼い主さんのいない寂しさを紛らわすかのように、私の足元に甘えてきました。

またある時はマンション脇の道路の向こうまで渡って、よその大きな家の玄関先まで訪問(遠征?)していました。まろの探検です。行った先できっと何か食べ物でも貰っているのか、お陰でちょっとずつ体重が増えてしまいました。

本当にこのまろ、まるで自分が人間だと思っているのではないかと思える感情が度々垣間見えたのです。猫も人間に近い感情を持つとテレビで聞いたことがありますが、このまろは他の普通の猫と違って特に人間ぽい猫でした。

私がマンションの実家に入ろうとすると、駐車場でこっちをじっと見ています。そのまま家に入ってしまうのも忍びないので、「バイバーイ!」と手を振ってあげると、「ニャン!♡」といって近寄ってきてしまいます。構ってくれると思ったのでしょう。

また、夏に玄関ドアを少し開けておくと、ドアの隙間からいつの間にか実家の玄関先に来ているのです。実家に入れてもらいたがっていたようです。何しろドアの隙間からまろの耳が見えるのです。ドアを開けているので「ニャン♡」という声が聞こえます。
「ほら、ニャンて言ってる!来たよ!!」
「今出ていったらダメだよ、癖になってまた来るから!」
と、出ようとする私を母が必至で止め「やばいやばい!」とよく大騒ぎしたものです。

約10年間、こうしてマンション裏の駐車場で気ままに、時にはよその家の車のボンネットに乗っていたり車の下で涼んでいたりしました。暑い時期にはひっくり返ってまるきり無防備な姿をさらしていた姿は本当に傑作。飼い主さんはこのまろを、「裏返っている」と表現していたのにも笑ってしまいました。

ところがそんな風に自由にしていたまろは、やがて外遊びができなくなってしまいます。まろがよその家の車のボンネットに乗っているのが迷惑がられ、苦情が多くなってしまったのです。それまで何度か、まろに対して苦情は少しはあったものの容赦してもらっていたようです。10年もの間、外で自由にしていたのですが、とうとう外遊びができない状態になってしまいました。かくしてまろは家猫になり、外では見かけなくなりました。飼い主さんも可哀そうかなと思うものの、仕方がなかったようです。

家猫になってから3年ほど経った頃、外に出られなくなったまろは、ストレスのかせいか具合が悪くなってしまいました。その後程なくしてまろは、病床で「ニャーン!」という鳴き声を最後に…虹の橋を渡って天国へ行ってしまいました。その時の年齢は13歳だったそうです。

時には人の言葉を理解しているかのようなそぶりや行動があったり、猫好きの人に対しては人懐っこかったまろ。また、車と雨と子供と雷が苦手だったまろ。飼い主さんだけでなく、私にもたくさんの楽しみと幸せをくれたまろ。表情豊かで鳴き方にも感情が読み取れる、人間みたいな珍しく面白い猫でした。

まろが亡くなってもう5〜6年くらいは経つかな。10年間、まろは溢れるほどいっぱいの幸せをくれたこと。私は幸せな時を過ごしたんだなと、今でもまろを懐かしく想うことがあります。


#猫と帽子の創作


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