第10回スクプロ講座(スピーチビュアー編)

第10回スクプロ講座(スピーチビュアー編)

SmartHRのプログレッシブデザイングループでアクセシビリティテスターをしている柳瀬と言います。
今回は10月2日にプログレッシブデザイングループ所属で私の上司でもある辻勝利(つじかつとし)さんのもとで行われた第9回スクリーン・リーダープロフェッショナル養成講座(スクプロ講座)について報告していこうと思います。
辻さんは弊社のアクセシビリティスペシャリストであり、またNVDA日本語チームの代表でもあるスクリーン・リーダーの第一人者になります。
このスクプロ講座は私だけでなく色々な方にも有意義な情報になると思い、前回に引き続き会話形式で記事にしてみました。

※スクリーンリーダーはNVDAを使用しています。

目次

  • はじめに

  • スピーチビュアーをショートカットで登録してみよう

  • 読み上げ音声の切り替えをしてみよう

  • 他の読み上げ音声について

  • まとめ

  • 最後に

はじめに

辻:それでは今日お伝えするのはですね、スピーチビュアーというNVDAの機能を簡単に呼び出して必要なときに使えるようにするっていう設定をします。

柳瀬:はい、よろしくお願いします。

辻:もしかして以前、NVDAでスクリーンカーテンをショートカットで使えるようにしましたっけ?

柳瀬:しましたね。

辻:では同じような要領で、スピーチビュアーもオンオフのショートカットが作れるでやってみてほしいんですよ。

柳瀬:了解です。

スピーチビュアーをショートカットで登録してみよう

辻:以前、NVDA+Xでスクリーンカーテンを割り当てましたね?

柳瀬:割り当てましたね。

辻:そしたら、NVDA+Shift+Xっていうショートカットが空いてると思うので、それをスピーチビュアーの起動ショートカットキーにしたいです。

柳瀬:なるほど。

辻:ちょっと設定を試してほしいんですが。もちろんいつでもアドバイスするのでしゃべりながらやってみてもらっていいですか?

柳瀬:わかりました。

柳瀬:まずはNVDAのメニューですよね。私の思い浮かぶ場所でやってみます。

NVDAのメニューの中を思い出しながら確認する。

柳瀬:設定からの入力ジェスチャーだったと思います。間違っていたらすみません。

辻:あたりです。

柳瀬:よかった。じゃあ中を確認していきます。

入力ジェスチャーの中をひとつずつ確認していく

柳瀬:テキストレビューかな?どうだろう。

辻:さぁ、どうかな~

柳瀬:多分テキストレビューであってますね。ちょっと押してみます。

開いていた画面が消えてしまう。

柳瀬:あぁ、消えてしまった。なんかこれ前もやった気がしますね。

辻:ちょっとヒントを出します。テキストレビューじゃなくてツールというのがあるので。

柳瀬:ありました。ツールなんですね。

辻:うん。ツールを開けてみてください。

柳瀬:開けました。思い出しました~これで追加ですね。

辻:そうそう。タブを押して追加を選択する。

柳瀬:スピーチビュアーを開いて追加してと。間違って一度消してしまいました。もう一度開きなおします。

スピーチビュアーを開きなおして内容を確認するとShift+Tabと読み上げる。

辻:これは先ほど間違って消した際にShift+Tabというショートカットがついちゃってますね。

柳瀬:なるほど。

辻:一度escapeして間違ってついているものを削除しなければいけない。

柳瀬:ということはtabですね。

削除と読み上げる

柳瀬:ありました。これで削除しました。

もう一度ショートカットキーの追加を行う

柳瀬:入力ジェスチャーの登録でNVDA+Shift+Xを押して登録するんですね。

辻:その通りです。そしたらすべてのキーボード配列を選択すればいいです。

柳瀬:入りましたね。

辻:できたできた。tabを押してOKを押してください。そしたらNVDA+Shift+Xを押してみてください。

スピーチビュアー開始という

柳瀬:できましたね。

辻:もう一度押してみて。

スピーチビュアー停止という

辻:大丈夫そうですね。これでスピーチビュアーが使えるようになりました。実はもう一つスピーチビュアーを起動する方法があります。

柳瀬:はい。

辻:スピーチビュアーを出してみてもらえますか?

柳瀬:出しました。

辻:そうしたらスピーチビュアーの画面にAlt+tabでカーソルを合わせてほしいんですが。

柳瀬:できました。

辻:そこがスピーチビュアーが表示している内容が出てくるんだけれども。エディット読み取り専用と読んでいる内容が出ています。tabを一回押してもらえますか?

柳瀬:NVDA起動時にスピーチビュアーを起動するチェックボックスといいますね。

辻:このチェックボックスにチェックをしておくとNVDA起動時にスピーチビュアーを起動してくれます。試しに一度NVDAを消してみてもらえますか?

柳瀬:消しました。

辻:そしたらNVDAを起動してみてください。

柳瀬:起動しました。これでスピーチビュアーも起動しているってことですね。

辻:スピーチビュアーは起動してない?

柳瀬:確認してみます。起動していますね。

辻:これがさっきチェックボックスにチェックをつけたからになります。

柳瀬:なるほど。

辻:普段yanaさんがスピーチビュアーを使わなければこのチェックボックスは外してもらって大丈夫です。必要な時だけ呼び出せるようになります。

柳瀬:わかりました。

読み上げ音声の切り替えをしてみよう

辻:画面上でNVDAの読み上げを確認したい。でも音声は静かにしててほしいというニーズがあるじゃないですか。

柳瀬:はい。

辻:そういう時にどうするかというと、本来はyanaさんはやらなくてもいいんですけれども。

柳瀬:そういう機能があるってことですよね?

辻:そうです。NVDAの設定メニューを開いてもらって。設定を開けて音声のところに行ってください。そこの音声エンジンは何になっていますか?

柳瀬:OneCore音声ですね。

辻:そこに変更するがあるじゃないですか。それを押してもらって「音声なし」でエンターを押してみてください。

静かになる

辻:音声がなくなるんですよ。

柳瀬:本当ですね。何もしゃべらない。

辻:その状態でNVDAを終了するとyanaさん困ってますよね?

柳瀬:そうですね。音がないですからね。

辻:何とかして戻しましょう。NVDAキーを押しながらCtrl+Rを押してみてもらえますか。そうすると前の設定にもどせます。

柳瀬が少し連打してしまう。

柳瀬:何も言わないので少し連打してしまいました。

辻:あまり連打するのはよくないですね。そしたら、一度NVDAを落としてみてもらえますか。

柳瀬:はい、わかりました。

辻:終了音はしました?

柳瀬:しました。

辻:もう一度起動してみてください。少し感で作業してもらいますが、NVDAキーを押しながらCtrl+Sを押してください。音声エンジンの選択が出ているはずなので上を一度押してもらってエンターで選択してみてください。

柳瀬:しゃべり始めました。

辻:おかえりなさい。Ctrl+NVDA+Cで設定を保存できるのでやってみてください。

柳瀬:できました。

辻:ちょっと大変な目に合わせてしまったのですが、これで起動したらNVDAが読み始めます。

柳瀬:よかったです。

辻:NVDA+Sでいつでも音声を変えることができるのですが、今は音声はいらないって時にCtrl+NVDA+Sでさっきみたいに下矢印を押すと音声なしになります。たまには違う音声で冒険してみたいよっていうときもCtrl+NVDA+Sを押しみてください。

柳瀬:なるほど。

他の読み上げ音声について

辻:Microsoft speech API version5というのは、実は今WindowsOneCore音声っていうのが最新の音声読み上げの技術なんですけど、昔々あるところに、たくさんの音声エンジンがありました。
例えばAという音声エンジンはこういうふうな設定じゃないと動きませんとか、Bという音声エンジンはこういうふうな設定じゃないと動かないみたいな、それぞれがその独自の命令によって動いてたんですよ。それを統一規格で動かそうという気話が出てきたんです。

柳瀬:なるほど。

辻:例えばNVDAを使ってるときに、自分はPCトーカーの声が好きだからPCトーカーの音声エンジンで使いたいっていうニーズがあるとするじゃないですか。

柳瀬:はい。

辻:実際ありそうですよね。もっと滑らかな声を聞きたいからNVDAは使うけどPCトーカーのエンジンも使いたい。そういうときに使うのがSAPIっていう規格で、SAPIっていうのは何の略かっていうと、Speech Application Programming Interfaceっていうの略で、要は統一規格なんですよ。このSAPIっていう企画で動いてる音声エンジンだったら、スクリーンリーダーがPCトーカーであってもNVDAであっても使えますっていう企画なんです。

柳瀬:そうなんですね。

辻:なぜ、PCトーカーの綺麗な声がNVDAで使えないのかっていう話は、実はPCトーカーで使われてる綺麗な声のエンジンはSAPIの企画で動いていないからNVDAでは使えないんですよ。SAPIじゃないんですよ。SAPIじゃないからNVDAでは使えない。なんでWindows OneCore音声の声がNarratorでもNVDAでも使えるのかっていうのは、どちらのスクリーンリーダーも、OneCore音声が使えるスクリーンリーダーだからです。OneCore音声が使えるスクリーンリーダーだったらどれでも使っていいですよっていう統一規格みたいなのがあるからなんです。

柳瀬:はい。

辻:なので、SAPIというのはスクリーンリーダーが変わっても同じ音声エンジンを使える規格のことです。

柳瀬:なるほど。

辻:そんな感じでここの音声エンジンの選択っていうところを使うと音声を読まなくしたり、今までの音声を使ったりそれを変更することができるようになります。他にはJTalkの声はもう聞いていただきましたっけ?

柳瀬:JTalkってどんな声でしたっけ?

JTalkの声を確認する

柳瀬:これは聞いたことがありますね。個性的だからよく覚えています。

辻:そうそう。こういうこともできます。

柳瀬:この声はこれでありな気がしますね。好きな人がいそうな気がします。

辻:そうね。実はJTalkみたいな単調な声の方が仕事に集中できるっておっしゃる方が、一定数いるんですよ。

柳瀬:はい。わかる気がします。

辻:僕の知り合いでもやっぱり音声エンジンって綺麗に聞こえるのが好きな人と、アクセントが強くないものを好む人と両方いるんです。だから是非いろいろ使い分けて試してみていただきたいなと思います。

柳瀬:わかりました。今日もありがとうございました。

まとめ

今回は主にスピーチビュアーについての説明になりました。正直、スクリーン・リーダーだけで作業しているとスピーチビュアーを使って文字を画面に表示する必要性はあまり感じられないかもしれません。しかし、オンラインで健常者の方と作業をするときに画面共有したうえでスピーチビュアーを表示しておくだけで相手が聞き取れなかったことが画面に表示して確認できるのでとても助かるのではないかと思います。また、弱視の人が聞き取れなかったときに確認するために使用するなどかなり使い勝手のいい機能だと感じます。こういった機能があるということが知ることができてとてもよかったですし、また業務でも使えそうなのでどんどん積極的に使っていこうと思います。

最後に

次回の内容はGoogleドキュメントについて行う予定です。次も色々な情報をお届けできると思いますので、ぜひ見に来てください。
辻さんもnoteで有益な情報を発信されているので、URLを貼っておきます!
Katsutoshi Tsuji

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