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痛み分け

「キミみたいなタイプ初めてかも」

「ありがと」

無表情に素っ気なく努めて冷静に答える

「褒めてるんじゃなくて」

慌ててキミが否定しようとする


「……」

敢えて無言の圧力をキミに与えた

我ながら性格がいいとは言えない


「怒った?」


動揺しだすキミを見て
僕の心は嬉しくなる

我ながら変だと思うけれど

「なんで?」

今度は少し怒り気味で返事をする


「ふーん」

キミは冷ややかな返事を僕に返す


ヤバい……
怒った時の僕よりも
多分、キミの怒った時の方が
ずっと怖いはずなのに……

分かってるのに
やっぱ素直になれない


「生意気だよね」

素直に『ごめん』の一言が言えない
いつものパターンだ

もう、ダメかも……

きっとキミは僕を……


「そうだね」


あれ、怒ってない?
怒ると分かってキミの事
生意気だって言ってるのに


「自覚ある?」

キミは不敵な笑いを浮かべて僕を見る


「何、その疑問形」

と言いながら
僕は嬉しくなってしまう


「別に」

そう言ったキミは、さっきより穏やかな声


「そう」


そんな風に返すしかできない僕の不器用さを
見透かすかのように
キミは笑いが止まらないよう


「ほんっと、キミみたいなタイプ初めて」

「ありがと」

さっきと違って、僕はキミにバレないよう
顔を綻ばせながら、そう伝える


「そういうところ、好きだよ」


ストレートなその言葉を投げかけるキミには
やっぱり敵わない


ごめん

の代わりにキミの唇をキスで塞ぐ


そして

「ずっと、傍に居てよ」


そう言ったあと
反論なんか許したくないから
もう一度、キスでその唇を塞ぐ


キミが嫌だと言っても
ずっと離さないから


ずっと僕の傍に居て








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