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内需が少ないまちは外需ビジネスから。発展プロセスを考えよう。(前編)

 先日は群馬県みどり市へ出張に行ってきました。
 今年度も残るところ、出張は一回でしたが、1-3月は出張ラッシュでした。

 今回の出張で、地域における「内需」について議論をしてきました。今回は、そんな地域の内需型ビジネスと外需型ビジネスについてコラムを書いていきたいと思います。
 様々な地域の相談に乗ることが多くあるのですが、そこにおいて僕が着目する点は、その地域の持つ内需についてです。

 仙台の都心部で考えるまちづくりと僕が住む仙台都市圏の郊外部で考えるまちづくりでは、そこで発展するための地域経営戦略がまるで違います。

 地域経営戦略を考える上で、地域が持つ内需に注目しながら、考えていくことが大切なのです。特に、郊外部の実践している方は、必見です。



その地域が持つ内需に着目しよう

 あなたが住む地域の内需に着目してみよう。
 内需型ビジネスとは、地域の市場を主な顧客とするビジネスのことを指します。これは、地域内の消費者や企業を対象にした商品やサービスを提供する企業や産業を指します。内需型ビジネスは、外需に比べて景気変動の影響を比較的受けにくい傾向があります。

 例を挙げると、地域の人がご飯を食べたりする飲食店、他にも美容室や不動産屋さん、病院、スーパーなども内需型ビジネスと言えます。もちろん、内需型ビジネスでも、ローカル企業がやってるものもあれば、ナショナルチェーン店がやってるものもあります。内需型ローカルビジネスもあれば、内需型ナショナルチェーン店ビジネスもあるということになります。

 一方で外需型ビジネスとは、主に地域外市場や外国企業に対する製品やサービスの提供に焦点を当てたビジネスのことを指します。外需型ビジネスは、地域内市場や国内市場に依存しない収益源を確立することを目指しています。

 これも例を挙げると、僕の仕事がまさにそれに当たります。建築設計やコンサル、このnoteのメンバーシップ料も外需型です。建築設計は工務店とは異なり、うちの場合は多くは県外の案件が多いですし、コンサルも同様です。noteに至ってはほぼほぼ県外の方が多いと思います。僕たちのようなクリエイティブ産業の多くは、どこでやるかという地域性は仕事柄、場所にそこまで依存しないと言うのも外需型ビジネスの特徴と言えます。

 「内需型ビジネス」は地域の内需に影響を受けますが、「外需型ビジネス」は地域の内需に影響を受けにくいと特徴があるのです。
 そのため、まちづくりにおいて、自分の地域にそもそも大きな内需が成立するのかも重要なテーマになってきます。

 特に郊外部になると、地域の内需がかなり見えにくくなっているので、以下のファクターを注意していくと良いです。

あなたのまちの昼夜間人口比率は?!

 ファクターのひとつ目は、まちの昼夜間人口比率です。地域の昼夜間人口比率とは、昼間の人口と夜間の人口の比率を表します。昼間の人口は通常、仕事や学校などの活動のために外出している人々を指し、夜間の人口は家にいる人々を指します。

 「昼夜間人口比率=昼間人口/夜間人口」のため、都市部は昼間人口が夜間人口が増えるため、100%を超えてきます。逆にベットタウンになると70%や80%と低くなるわけです。

 また、郊外などに工場などを誘致すると、元々、母数が少ないところに工場労働者が周辺自治体から集まってくるので、大きく昼夜間人口比率を高めることがあります。

 ちなみに宮城県の昼夜間人口比率を見ていきましょう。


出典:https://www.pref.miyagi.jp/soshiki/toukei/kokusei2015-juugyoutituugakuti.html

 このように人口が少なく、郊外部で工場がある、大衡村、女川町、大和町の3つの自治体は高い結果が出ています。
 そして都市部で周辺のベットタウンから昼間に人口集めている仙台市が高いのは明らかです。沿線が通っていて交通面が発達している仙台駅まで30分圏内の岩沼市、名取市、亘理町、柴田町、利府町、塩竈市、多賀城市、富谷市あたりは昼夜間人口比率は高いと言えます。

 ベットタウンでも、岩沼市、名取あたりは比較的、高いのは工場もあるため、仙台にも流出しながらも、工場は周辺の自治体から集めているため、そこまで低く出ていないのも見どころです。

 つまり、僕の住む郊外でも岩沼市は、ベットタウンでありながら、工場により昼夜間人口比率が高い都市もあるということになります。


モータリゼーションと大店立地法

 岩沼市のような町は珍しくなく、他の自治体でもよく見られる数字と言えます。この場合、昼間人口が多いという数字に踊らされ、方針を誤ってはいけません。

 大概、このようなまちは、ベットタウンでありながら、都市周辺部に張り付く高速道路網や自然環境を生かして、工場が誘致したということから、郊外でもさらに郊外に工場を誘致しており、郊外の中心市街地からは離れた場所にあったりします。
 
僕の街でも、仙台駅から電車で20分の利便性の高い駅前には工場はなく、そこからさらに車で10分~20分ほどにあり、中心市街地からは離れているのです。もちろん、そのため、自家用車通勤が中心となります。日本でも1990年代後半には、自家用車が完全普及し、完全なモータリゼーションが完成し、2000年には大規模小売店舗立地法(大店立地法)が施行され、郊外部に大規模ショッピングモールが続々、出店しました。

 昼夜間人口比率が高い郊外でも、基本的にはモータリゼーション型の暮らしが完成していくことになります。

専業主婦世帯と共働き世帯の逆転

 昔であれば、郊外部の中心市街地では、旦那が働きに出ても、奥様は専業主婦で商店街の八百屋や魚屋に買い物に行くという暮らしが普通でしたが、それも1990年代後半に専業主婦世帯と共働き世帯の逆転し、共働き世帯が普通となります。

出典:https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/timeseries/html/g0212.html

 こうなると、奥様も都心部に電車で働きにでたり、郊外のさらに郊外にある病院や工場や福祉施設に働きに車で行くというのが当たり前になり、中心市街地から女性の姿が減ったのです。

 昔の商店街の写真などを見るとわかりやすいですね。とても女性で商店街は賑わっています。つまり、専業主婦世帯を中心に中心市街地の活動人口が多かったことを意味します。

出典:https://kumin.news/itabashi/articles/329926

あなたのまちの中心市街地の活動人口を把握しよう

 しかし、現在では、昼夜間人口が多い自治体でも、実は中心市街地の活動する人口は少ないのです。
 これが、大都市を除き、おおよその地方都市の課題となっているのです。そのため、皆さんもまちづくりや地域づくりをする場合に気をつけなければならないのは、その地域の中心市街地の活動人口は果たして、どのくらいいるのか?!をある程度、把握しなければならないのです。
 以前は旦那が働きに行っても、郊外でも中心市街地には商店街があり、そこに専業主婦世帯を中心に人が集まっていたのです。もちろん、人口が減少したということも理由の一つにありますが、それだけでなく、暮らし方そのものが大きく変容した中で、地域の「内需」も大きく変化したと言えるのです。

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 次回の後編では、中心市街地の内需が減った中で、どのように内需喚起していくのか?その部分について、自分の取り組みを含めて、コラムを書いていきたいと思います。

 今回のnoteはここまで。最後で読んでいただき、ありがとうございます!これからも、noteを掲載していこうと思いますので、スキ・フォローなどを頂けますとそれを励みに頑張っていけます。

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