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「昔の3人~10人の数の数え方の表記について」


「昔の3人~10人の数の数え方の表記」(出典:「日経校閲」のSNS)

この古い日本語の数え方は、日本語の数詞の歴史や文化的背景を理解する上で非常に興味深いものです。現代では「~にん」という数え方が一般的ですが、これが定着する前の時代には、人数を数えるのに「~たり」という独自の形が使われていました。この「~たり」は、もともと和語(日本固有の言葉)から派生したもので、主に人数を表すために用いられました。

「たり」の起源と用法

「たり」は、古典日本語で「一人当たり」や「ひとまとまり」という意味を持ち、「たり」と「つたり」(複数形)という形で使われました。この助数詞「たり」が、特定の数詞と結びつくことで、人数を表す表現として機能していました。たとえば、「みたり」や「よたり」のように使われることがありました。

数詞と助数詞「たり」の組み合わせ

画像に示されているように、次のような組み合わせが一般的でした:

  • 3人:「みたり」または「みったり」

  • 4人:「よたり」または「よったり」

  • 5人:「いつたり」

  • 6人:「むたり」

  • 7人:「ななたり」

  • 8人:「やたり」

  • 9人:「ここのたり」

  • 10人:「とたり」

各数詞の詳細

  • みたり、みったり(3人):「み」や「みつ」は、古語で「3」を意味します。「たり」がつくことで「3人」を表す形になりました。「みつ」から「みったり」と派生した形も存在します。

  • よたり、よったり(4人):「よ」や「よつ」は、古語で「4」を意味し、「たり」をつけて「4人」を表しました。現代の「よにん」に相当します。

  • いつたり(5人):「いつ」は「5」の意味で、「たり」が加わることで「5人」を表す形になっています。

  • むたり(6人):「む」は「6」を意味し、「たり」を加えることで「6人」を表しました。

  • ななたり(7人):「なな」は「7」を意味し、「たり」をつけて「7人」を表しました。

  • やたり(8人):「や」は「8」の意味で、「たり」をつけることで「8人」を表しました。

  • ここのたり(9人):「ここの」は「9」を意味し、「たり」を加えて「9人」を表す形です。

  • とたり(10人):「と」は「10」を意味し、「たり」をつけて「10人」を表しました。

歴史的背景と変遷

このような古い数え方は、古典文学や詩、和歌などの中で使用されており、特に平安時代やその前後の時代に広く見られました。しかし、時代が進むにつれて、これらの表現は次第に使われなくなり、現在の「~にん」という数え方が一般化していきました。これは、漢字や仏教文化の影響が強まる中で、中国由来の数え方が日本でも受け入れられるようになったことが背景にあります。

日本語の多様性と文化的意義

このように、古い数え方は、日本語が時代や文化の影響を受けて変遷してきた過程を理解する上で重要です。日本語の多様性や歴史的背景を深く知ることができるとともに、現代日本語における表現の源流をたどる手がかりにもなります。

「みたり」「よたり」といった表現は、今ではほとんど使われませんが、古典文学の中でその名残を見つけることができる場合もあり、これらの言葉は日本語の文化的遺産として評価されています。

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