アメフト大学王座決定戦・甲子園ボウルへの大きな期待

「日大」と「関学大」の名前を新聞紙面で頻繁に目にする。

13日に行われるアメリカンフットボール東西大学王座決定戦・甲子園ボウルの出場校だ。

両校の名前は2年前の「悪質タックル問題」により、世間からあまりにも大きな注目を浴びた。指導者と学生の歪な関係が取り沙汰される等、社会を激しく揺るがすこととなった事の発端となったのがアメフトの試合だったこともあり、当時は極めて残念だと思った。日本国内ではマイナースポーツの域を出ず、アメフトファン以外からの関心は決して高くない競技ではある中で、あのような形で一般的に広まってしまったことは、さらにネガティブなイメージを植え付けることになった。

それでも、アメフトというスポーツには、他の競技には無い魅力を持っている。特に、今回の両校の対戦は通算30回の優勝を誇る「絶対王者」関学大に対し、3年振りの頂点を狙う日大が挑むという構図。2年前の出来事が更なる特殊なシチュエーションの「スパイス」となることも避けられないものの、タイトルを懸けた学生最強王者決定戦は間違いなく、正々堂々とした戦いが行われるだろう。

さらに、両校の戦いの先には、来年1月3日の日本選手権ライスボウルという大舞台も用意されている。社会人代表との日本一決定戦は正月の定番となったビッグイベントだ。ライスボウルは毎年、満員の観客で埋まり、グラウンド上の激しい戦いと共に、学生・社会人両代表の応援団の熱気もドームを盛り上げる要素の一つだ。

初めて「イッテンサン東京ドーム」に足を運んだのは2010年の正月。学生代表として出場していた関西大学カイザースが社会人王者鹿島ディアーズと互角の戦いを繰り広げていた。確か、一時はリードする展開もあり、最終的に僅か3点差(16-19)での接戦を演じている。自分にとって人生初のアメフトの現場は、野球観戦よりも先に東京ドームに訪れたこともあり、社会人に肉薄した学生の躍動する姿など様々な衝撃と共に記憶に刻まれている。

近年ではその実力差から、両代表の対戦を疑問視する声も少なくないが、日本一を決める舞台に挑む学生たちの闘志と充実感に溢れる表情が現地でも、また、テレビを通じても伝わってくる。そしてそれは正月の大舞台へと続く、甲子園ボウルでの決戦も同じことが言えるだろう。これまで激しく競い合ってきた日大と関学大による今回の戦いは大きな注目を集めながら、両校の新たな一歩を刻むとともに、アメフトの面白さを広く知らしめる魅力的な「伝統の一戦」となることを信じている。(佐藤文孝)

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